雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「――――あ」


 そこまで考えて、唐突に気づいた。

 九条くんと一緒なら、私の半妖としての能力、〝癒しの力〟を使えばもしかして……?

 今まで九条くんにしか使ったことのない力。カイリちゃんにも有効なのかは分からない。
 それに氷の妖力を使えば、私がカイリちゃんに嘘をついていたこともバレてしまうだろう。


「…………」


 でも――。


 不思議だけど、あれほど正体を明かすことに抵抗を感じていたのに、今は知られていいと思える。
 
 雪女でも、半妖でも、私は私。
 雪守(ゆきもり)風花(かざはな)の娘で、日ノ本高校の副会長。
 私が雪守まふゆであることは変わらない。

 嘘がバレて失望されても、怒られても、きっと分かり合える。

 だから、大丈夫。

 もう、迷ったりしない……!!


「――――――」


 すぅっと息を吐き、私はカイリちゃんの額にそっと手のひらを当てて、氷の妖力を込める。


「はぁ……ぁ……、……」


 するとみるみる内にカイリちゃんの荒い呼吸は(やわ)らいでいき、熱も緩やかに引いていく。
 妖力がきちんと効いたことを実感し、私はホッと胸を撫で下ろす。

 そして少しした頃、カイリちゃんの(まぶた)がフルフルと震え出した。


「ぁ……?」

「! カイリちゃん、気がついた?」

「……あ、たし……」

「覚えてる? 私達、高波に流されて……」

「…………っ!」


 ぼんやりと私の話を聞いていたカイリちゃんは、突然クワっと目を見開いたかと思うと、即座に頭から布団を被って隠れてしまう。


「え、えっ!? カイリちゃんっ!?」


 あまりの早業(はやわざ)に慌てて布団で出来た小山に呼びかければ、予想外にか細い声が返ってくる。


「あたし……もう終わりだ。取り返しのつかないことをしちゃった……」

「……え?」


 思わず聞き返せば、カイリちゃんは布団を被ったまま、ポツポツと話し出した。