お昼を九条くんと食べた後、午後の授業も終わり、とうとう放課後がやってきた。


「うわぁぁああーっ!! 本当に、ほんっっとうに来てくれたんですね!! 九条くぅぅーんっっ!!!」

「はい、今日から参加させて頂きます。今まで参加出来ず申し訳ありませんでした、木綿(ゆう)先生。……みんなも本当にごめん」


 生徒会室に入って早々、私の隣に立つ九条くんの姿を見た先生が、感激のあまりおいおいと泣き出した。
 それに九条くんは苦笑しながらも私たち生徒会メンバーを振り返り、申し訳なそうな顔をする。

 今年の生徒会が発足して早2ヵ月。ようやく生徒会メンバーが全員揃った。先生のオーバーリアクションはともかく、奔走した当事者としては感慨深い限りだ。


「さて先生、どうします? とりあえず九条くんは初回ですし、改めてお互い自己紹介しておきましょうか?」

「おおっ! 雪守さん、ナイス提案です! 既に見知った顔同士でしょうが、こういうのは最初が肝心ですからね!」


 私の提案に先生が目を輝かせ、改めて一人一人自己紹介が始まる。
 ……という訳で、ここいらで生徒会メンバーについておさらいしておこう。


九条神琴(くじょうみこと)。よろしく」


 まずは生徒会長。学年1位であり、三大名門貴族のひとつ、妖狐一族の次期当主だ。


雪守(ゆきもり)まふゆです。よろしくお願いします」


 そして副会長は私、学年2位。九条くん以外には絶対に秘密だが、雪女の半妖である。


雨美水輝(あまみみずき)だよ。みんな改めてよろしくね」


 次に書記、学年3位。(みずち)一族で貴族だ。


夜鳥雷護(やとりらいご)だ。よろしく頼むぜ」


 最後に会計、学年4位。(ぬえ)一族でこちらも貴族。


「はいはいはいっ! 僕は木綿(ゆう)疾風(はやて)です! 先生だけど、みんなのことは仲間だと思っているので、遠慮せず仲良くしてくださいっ!!」


 ……あとおまけで生徒会顧問の木綿(ゆう)先生。木綿と書いて〝ゆう〟と読む。でもあだ名はもめん先生。
 茶髪のロン毛で何かと言動がうるさいのが特徴だ。担当教科は国語で、その本性は一反木綿(いったんもめん)である。ちなみに貴族ではない。

 この面子(めんつ)を見ても分かる通り、人間はいない。元々人間よりも妖怪の方が能力的に優れている者が多いので、成績によって生徒会役員が決まるうちの高校だと、どうしてもメンバーは妖怪に偏りがちになるのである。
 なので私の生徒会入りが決まった際には、周囲から〝人間の星〟などと持てはやされてしまい、でも実際は雪女の半妖であることなど言える筈もなく、なんとも心苦しい思いをしたものであった……。