雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「きゃああっ!」

「まふゆ、無事かっ!?」


 波に驚いてこけそうになった私の体を、九条くんががっしりと受け止めてくれる。


「う、うん、私は大丈夫! でも、それよりも……っ!」


〝雨美くんとカイリちゃんはどうなったの?〟

 そう問おうとしたところで、ワッ! とすぐ側で朱音ちゃん達の歓声が聞こえた。


「よっしゃああっ!!」

「すごい、雨美さん……っ!!」

「カイリ……、よかった……!」

「えっ……?」


 ホッと安堵した様子のみんなに、私も慌てて海へと視線の方を向ける。


 すると――、


「あっ……!!」


 青い鱗の背にカイリちゃんを乗せた雨美くんが、こちらへと一直線に泳いで来るのが、激しい雨風の中でも目視出来た。
 カイリちゃんはぐったりと雨美くんに身を寄せている。


「よかった、無事で……!! あれ? でも船は?」

「恐らくさっきの大波に呑まれてしまったんだろうね……」

「そっか……」


 残念ではあるが、命には変えられない。
 何はともあれ、カイリちゃんを無事に見つけることが出来てよかった。
 ようやくみんなの顔にも笑顔が浮かぶ。

 そうして間もなく船着き場に雨美くんが辿り着くというところで、魚住さんが海に身を乗り出すようにして、カイリちゃんに両手を伸ばした。


「カイリっ!!!」

「……と……さ…………」


 するとその声に反応して、ぐったりと顔を伏せていたカイリちゃんがこちらへと顔を向ける。
 そしてその視線が私達を捉えた時、虚ろだった彼女の表情がみるみる内に歪み、ぶるぶると体が小刻みに震えだした。


「…………んで」

「? カイリちゃん……?」


 ……なんだろう? なんだかカイリちゃんの様子がおかしい。
 この感じ、以前にもあったような……?


「――――っ!!」


『昔からそうだった。感情が昂ぶると、勝手に力が暴れて周囲を傷つける』

  
 そうだ……! これはカイリちゃんが半妖の力を使う、前触れ……!!


「……っ、なんでっ!!」

「カイリちゃんっ!! ダメッ……!!」

「なんで邪魔すんだよ!? もう少しで母さんが帰って来んのにっ!! みんなして、あたしの邪魔をすんなーーーーっ!!!」