「まぁ実際にお母様とお会いすることは叶わなかったけどね。でも魚住さんとは昔から釣り仲間だし、あの子の事情は分かってた」

「風花さんにはカイリのことでよく相談に乗って貰ってたんだべ」

「そ、そうだったんだ……」


 意外な繋がりに目を丸くするが、しかし今はそれに驚いている場合ではない。


「ええっと……じゃあ話を戻すと、雨美くんがカイリちゃんを泳いで探すってことでいいんだよね?」

「そうだね。けど妖力を辿(たど)って彼女を追跡することは出来ないから、見つけるのには少し時間が掛かると思う」

「だったら僕も空から探しましょう。人を乗せるのは難しいですが、僕一人なら風圧に左右されることなく飛べますし」


 ――木綿先生の一言が決めてとなり、それで方針はまとまった。

 早速みんなが雨具に着替えて、すぐに準備を整える。
 そしていざ出発となった段階で、魚住さんが今にも泣き出しそうな顔をして、私達に深々と頭を下げた。


「皆さんをこんなことに巻き込んでしまって、申し訳ないだ。けれどカイリの為に本当にありがとうございます」

「頭を上げてください、まだ見つかった訳じゃないんです。これからなんですから」

「そうよ! アンタ達、カイリも含めて絶対に無事に帰ってきなさいよね! 先生、子ども達のことお願いします」

「はい! 皆さんのことはお任せください!」

「それじゃあ、いってきます!」


 万が一の為に家で待機することになったお母さんが、私達に大きく手を振って送り出してくれる。
 それに手を振り返して、私達は一路、カイリちゃんが居るであろう海へと向かうのだった。