「ま、そん時は家を修理しつつ、雨風が収まるのを待つしかないわね。幸い今年は男手も充実してるんだし、なんとかなるわよ」
「!」
後ろから聞こえた声に驚いて振り向けば、お母さんが眠そうな顔をして立っていた。
そうしてそのまま大あくびをしながら私の隣にどっかりと座って、一言「レモネード」と呟くので、「はいはい」とレモネードをコップに注ぎ、お母さんに渡してやる。
「珍しいね。お母さんがこんな朝早くに起きるなんて」
「たまたまよ。さっきの落雷で目ぇ覚めた。でもどうせ今日は一日外に出られないし、しばらくしたら二度寝するわ。アンタ達は今日は何すんの?」
「宿題の続きがまだ残っているし、それをやるつもり――……」
ドンドンドンドン!
「!?」
話してる最中、唐突に雨風とは違う玄関を叩きつける激しい音が響いて、私達は驚きに目を見開く。
「え、今のって……?」
「風じゃない。明らかに人が扉を叩いた音だったね」
「でもこんな朝っぱらから、しかも荒天の日に出歩く人なんて……」
ドンドンドン!!
「!!」
また玄関を叩く音が響いた。これは間違いなく誰かが家の前にいるのだろう。
私は慌てて玄関に駆け寄り、扉の取っ手に手を伸ばす。
「――待った」
しかし横から声を掛けられ、私を静止した九条くんが代わりに取っ手に手を掛けた。
「俺が出るよ。まふゆは念の為、風花さんと後ろにいて」
「う、うん……」
言われた通りお母さんと後ろに下がって、じっと扉の向こうを伺う。
そうして九条くんが慎重に扉を開き、現れた人物は――……。
「こんな日にすまねぇだ、風花さん!!」
「魚住さん!? 一体どうしたんですか、こんな荒れた天気の中!」
……そう。
玄関前に立っていたのは、ついこの間出会った麦わら帽子を被った男性――カイリちゃんのお父さんだった。
激しい雨に打たれてずぶ濡れのその姿に、慌ててお母さんが家の中へと入るよう勧めるが、しかしそれを遮るようにして、カイリちゃんのお父さんが叫んだ。
「カイリを……、カイリを見なかっただか!? 物音で目ぇ覚ましたら、カイリがどこか外へと出て行っちまってたんだ!!」
