雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 笑い声のした方を振り向けば、お母さんが腕を組んで立っており、その後ろには昨日壊れた台所を修理していたはずの九条くんと朱音ちゃんもいた。

 もう修理は終わったんだろうか?


「お疲れ、もう台所の方は終わったの?」

「まふゆちゃーん! ごめんねぇっ!!」

「わっ!?」


 声を掛けるなりいきなり朱音ちゃんが飛び付いて来たので、私は慌ててその小さく柔らかな体を受け止める。
 そしてそのまま目が合えば、朱音ちゃんの瞳がウルウルと涙で潤んだ。


「昨日わたしがお米を炊こうとして台所を爆発させちゃったせいで、みんなの仕事を増やしちゃった……」

「そんなっ!! そんなに落ち込まなくていいんだよ!! 台所の一つや二つ、爆発なんてよくあることだからっ!!」


 誰かが「いや、ないだろ」と余計なことを呟いたのが聞こえたが、マルっと無視して朱音ちゃんのふわふわの髪を撫でる。
 ああ柔らかい。幸せ。この幸せの為ならば、台所の爆発くらい安いものである。


「あの、風花(かざはな)さん」


 すると(えつ)に浸っていた私の耳に、九条くんの声が聞こえた。


「先ほどの〝海神の御成〟……でしたっけ。悪いことばかりでないとは、どういう意味なんですか?」

「ん? ああ。悪いことばかりじゃないって言うのは、昔から台風は海神が最も陸に近づいた時に起こるって言い伝えられていて、雨量が少ないティダに海神が恵みの雨を運んでくるって考えられてるからよ」

「へー。それで〝海神の御成〟かぁ」

「けど海神って、人魚の当主のことなんだろ?」

「あ、そうだ。人魚一族は決して陸には近づかないはずなのに、どうしてそんな言い伝え……」


 夜鳥くんと雨美くんが不思議そうに言えば、お母さんが頷いた。


「そこはまぁそれこそ言い伝えだし、明確な理由は不明だけど、一説にはザンの森に流れ着いた人魚を迎えに行く為……なんて言われたりもするわね」

「ふーん……」