「高校に入って色んなことを知って、経験して。お母さんに話したいこと、聞かなきゃいけないこと、たくさん出来たんだよ」
どうしてティダに移り住んだの? 本当に寒いところに住むのは面白くないなんて理由なの?
私が一度も会ったことの無いお父さんは、本当に冒険家だから帰って来ないの?
どうして私を守る為に半妖であることを隠さなきゃいけなかったの? そもそも何から私を守るの?
九条家当主にはどうしてあんなに憎まれてるの? 男を巡ってって、本当にそうなの?
――そして、皇帝陛下。
「私この間みんなでお城に行った時、陛下に〝まふゆ〟って呼ばれたの。どうして陛下が会ったこともない私の名前を知ってたの? お母さんはどうして陛下とさっき一緒にいたの!?」
全てをぶつけるように問いかけると、じっと私の言葉を聞いていたお母さんがポツリと「……よかった」と呟いた。
「え?」
意味が分からず聞き返せば、お母さんがポツポツと話し出す。
「まふゆを日ノ本高校に入れたのは賭けだった」
「〝賭け〟……?」
「わたしの目が届かないところに行かせる訳だからね。正直気が気じゃなかった。でも、國光にまふゆの気持ちを尊重させるべきだって言われて……」
「陛下に?」
なんでそこで皇帝陛下? 訝しんで眉を寄せると、お母さんがまた溜息をついた。
「國光は……、日ノ本高校の同級生だったの。國光とわたしと、葛の葉と……そして紫蘭。わたし達は同じ生徒会役員だった」
「はっ!?」
そんな濃い面子で生徒会だったことも驚きだが、それ以上に気になるのは――!!
「紫蘭さんって、前に陛下も話してた! 子どもの頃からの友達だって!」
「ええ、そうよね。國光と紫蘭はいつもバカばっかりやって、こっちが羨ましくなるくらい仲が良かったわ。本当に……」
「良かった……?」
――また、だ。
またドクンドクンと痛いくらいに私の心臓が波打つ。
だってお母さんも陛下も、まるで紫蘭さんをもういない人みたいに言うんだもん。
どうして――?
