雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「ううん、私は生まれも育ちも〝ティダ〟だよ。だから暑さにはわりと耐性あるかも。まぁそれでも帝都のじめじめした暑さは、確かに辛いけどね」


 去年初めて体験した帝都の夏は、ティダのカラッとした暑さとは比較にならない不快さだったことを思い出す。


「ティダ……。それはまた、随分と極端な場所が故郷なんだね」

「あはは……」


 驚いた顔を見せる九条くんに、思わず私は苦笑した。


「だよね、私もそう思う。なんでもお母さんが『雪女だからって寒いところに住んでいるのは、普通過ぎて面白くない!』って、私が生まれる前に移住したんだって」


 私の故郷ティダはカムイとは逆に、日ノ本帝国最南端に位置する南国の島だ。高校入学を機にこの国の首都である帝都に出て来るまで、私は島でお母さんと二人、かき氷を売って生活していた。


「じゃあ今は寮生活? お母さんと離れて寂しくない?」

「寂しいよ。だからたくさん手紙を送るんだけどね、でもお母さんズボラだから数ヶ月に一回しか返事が来ないの。文句を言っても、『便りがないのは元気な証拠!』って笑ってるし」

「すごいなぁ。普通逆な気がするけど、雪守さんのお母さんって、かなり豪快な人なんだね」

「そうそう、そうなの!」


 楽しそうに相槌を入れてくれる九条くんに、私は調子を良くして更にお母さんの愚痴をこぼす。


「豪快エピソードなら他にも山ほどあるよ! お母さんから時々仕送りが届くんだけどさ、マンゴーやパイナップルはいいとして、生きたままの魚をそのまま送りつけてきたんだよ!? あり得なくない!?」

「あはは! 確かに生きたままは困るね」

「大困りだよ!! 仕方ないから、寮母さんにその日の夕飯に使ってもらったけどさぁ!」


 そこまで話して、はて? と頭の片隅で疑問に思う。
 なんで私は九条くんにこんなにペラペラ、自分のことや家族のことを話しているんだろう?
 九条くんとはやっと昨日まともに話したばかりの、ただお互いの秘密を守るために契約で結ばれただけの関係なのに。

 ……なんて、その答えは自分自身がよく分かっているんだけどね。