雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「あの、すいません! そのスイカ、私達のなんです!」

「お怪我はありませんでしたか?」


 恐らく釣り人であろうその人の側に駆け寄って私達が口々に言えば、男性は緩く首を振る。


「いんや、オラはなんともないべ。立派なスイカが空から降ってきたと思ったら、アンタらのだったのかぁ」

「そうなんです。拾ってくださり、助かりました」


 どうやら男性がキャッチしてくれたお陰で、スイカは割れずに済んだようだ。
 私は受け取ったスイカを大事に抱えて、お礼を言う。


「みなさーん! スイカは無事でしたかー!?」


 と、そこで不毛な罪の擦りつけ合いをしていた先生達三人もこちらに走ってくる。
 すると麦わら帽子の男性は、驚いたように私達を見遣った。


「はぁしかしまた大勢で……、みんなで海水浴だべか?」

「はい。俺達は帝都の学生で、夏休みを利用してティダに遊びに来たんです」

「はぇー帝都から」


 そりゃ遥々(はるばる)ティダまでよく来たべさと頷き、麦わら帽子の男性は優しい笑顔を見せる。
 妖力は全く感じないし、きっと人間なんだろう。朗らかな口調といい、その柔和な態度といい、随分と人の良さそうな人だなと私は思う。


「若ぇ内はたくさん遊ぶのがいい。オラの娘もアンタらと似た年だべ。仕事を手伝ってくれるんは助かるが、たまにはアンタらみたいに遊んで……」

「父さん? さっきから誰と話して……」


 と、そこで釣り舟からひょっこりと一人の人物が顔を出す。
 見覚えのある小麦色の肌と水色のショートヘア。左右の耳元で揺れる大きなピアスに、私は「あっ」と目を丸くした。


「カ、カイリちゃんっ!!?」

「げっ! アンタらがなんで父さんと……!?」


 なんと現れたのはカイリちゃん!
 対面するのはあの入り江での出来事以来となる。

 そして私達と〝父さん〟と呼んだ麦わら帽子の男性を交互に見て、彼女はなんとも言えない微妙な顔をした。