雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


 注文したものはすぐに運ばれてきた。


「冷やしうどん定食でございます」


 完璧な所作のウェイターさんにこんな庶民的な料理を運ばせてすみませんと内心思うが、冷やしうどんは私の大好物なのだ。


「やったぁ! いただきまーす!」


 ちなみに学食の冷やしうどん定食は豪華で、うどんは具沢山だし、いなり寿司も3貫ついてくる。つるんと真っ白なうどんを口に運べば、広がる優しい味に思わず頬が緩んだ。


「冷やしうどんが好きなのは雪女だから?」


 ずるずるうどんを啜る私を見ながら、向かいに座る九条くんが首を傾げる。


「それも関係はあるかも。熱々の食べ物は嫌いだし、お母さんなんかよく氷をそのまま食べてる」

「氷をそのまま? それはすごい」


 言いながら九条くんも冷やしうどんを口に運んだ。うどんがまるでパスタのようにスルスルと優雅に消えていく。
 この人の場合、飛ばした汁で服を汚すことなんて無縁なんだろーなーとどうでもいいことを考えつつ、私はひたすら目の前のうどんを啜った。


「でもそれなら食事だけじゃなく、帝都(ていと)の高温多湿な気候も君には辛いんじゃない? 雪守さんの故郷はやっぱり〝カムイ〟なの?」

「あー……」


 カムイとはこの国、日ノ本帝国(ひのもとていこく)の北部に位置する島の名前だ。極寒の地のため人口は少なく、独自の文化が発達しているんだとか。
 確かにいかにも雪女が住んでいそうな場所だが、生憎私はカムイには住んだこともなければ、行ったこともない。