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注文したものはすぐに運ばれてきた。
「冷やしうどん定食でございます」
完璧な所作のウェイターさんにこんな庶民的な料理を運ばせてすみませんと内心思うが、冷やしうどんは私の大好物なのだ。
「やったぁ! いただきまーす!」
ちなみに学食の冷やしうどん定食は豪華で、うどんは具沢山だし、いなり寿司も3貫ついてくる。つるんと真っ白なうどんを口に運べば、広がる優しい味に思わず頬が緩んだ。
「冷やしうどんが好きなのは雪女だから?」
ずるずるうどんを啜る私を見ながら、向かいに座る九条くんが首を傾げる。
「それも関係はあるかも。熱々の食べ物は嫌いだし、お母さんなんかよく氷をそのまま食べてる」
「氷をそのまま? それはすごい」
言いながら九条くんも冷やしうどんを口に運んだ。うどんがまるでパスタのようにスルスルと優雅に消えていく。
この人の場合、飛ばした汁で服を汚すことなんて無縁なんだろーなーとどうでもいいことを考えつつ、私はひたすら目の前のうどんを啜った。
「でもそれなら食事だけじゃなく、帝都の高温多湿な気候も君には辛いんじゃない? 雪守さんの故郷はやっぱり〝カムイ〟なの?」
「あー……」
カムイとはこの国、日ノ本帝国の北部に位置する島の名前だ。極寒の地のため人口は少なく、独自の文化が発達しているんだとか。
確かにいかにも雪女が住んでいそうな場所だが、生憎私はカムイには住んだこともなければ、行ったこともない。
