雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「!? !?」

「このネックレス、ずっと着けてくれているんだね。太陽の光が反射して、ちょうど今のまふゆの瞳の色と同じになっている」

「え、あ……ぅ……」


 九条くんが私の首に掛けているホタル石を手に取って、太陽に透かしながら言う。

 その息づかいまで聞こえてきそうな距離に、のぼせ上がった頭では返事をする余裕もなくて、コクコクと頷くことしか出来ない。


 ――あああ、こんなの無理っ!! 心臓がもたないっっ!!!


 私達を見ている朱音ちゃん達のどこか生暖かい視線にも居た堪れないし、恥ずかしい。
 とにかくどうかバクバクとうるさい心臓の音が九条くんに聞こえてませんように!!

 私はひたすらそれだけを祈った。


 ◇


「はぁ……」


 初っ端から精神的大ダメージを受けてしまった。
 九条くんって実は天然なのかな? 行動がいちいち凶器過ぎる……。

 しかしいつまでも恥ずかしがってはいられない。
 気を取り直して海に入るべく、私は砂浜で準備体操を始める。


「ふぁああ〜」

「?」


 するとレジャーシートの方から大きな欠伸(あくび)が聞こえたので見れば、ちょうど木綿先生が砂浜に寝っ転がっているところであった。

 私は側にしゃがみ込んで、声を掛ける。


「あれ? 先生は泳がないんですか?」

「あはは。実は僕、昨日も風花さんと酒盛りしてて、ほとんど寝れてないんですよー。なので日光浴がてら少し寝ようかなと思いまして」


 そう言いながらまた欠伸をする先生は、確かにとても眠そうだ。


「ごめんなさい先生。いつもお母さんに付き合わさせちゃって……」

「いえいえ、付き合わさせるなんてとんでもない。むしろ風花さんと飲むのは楽しくて、ついつい飲み過ぎちゃうんですよねー……」


 その言葉を最後に、木綿先生はすぐに寝入ってしまった。
 楽しいとは言っているが、酒豪のお母さんに付き合うのはさぞや骨が折れたはずだ。このまましばらく寝かせてあげよう。

 そう考えて準備体操を再開するべく立ち上がった瞬間、後ろからバサバサという音が響いて私は振り返る。

 するとそこにいたのは――。