「っ、九条くん!?」
既視感のある柔らかな感触にハッと下を見れば、やはりまた以前のように九条くんが私の下敷きになっていた。
私は慌てて九条くんから飛び降りて、その体を抱き起こす。
「まふゆ、大丈夫?」
「私より九条くんがっ……!!」
「大丈夫、俺はなんともないよ」
「――――っ、ごめん!!」
バタバタと近づいて来る足音に視線を上げれば、いつかのようにカイリちゃんが息を切らせてこちらへと走って来ていた。
どうやら思った以上に、遠くへと吹き飛ばされてしまったらしい。
「ごめんっ!! あたしまた……!!」
そう震えた声で謝るカイリちゃんの顔は青ざめており、その様子を見て私は確信する。
やっぱり以前に朱音ちゃんが言っていた通り、カイリちゃんはまだ上手く半妖の力をコントロール出来ていないんだ。
私は服に着いた砂粒を払って立ち上がり、走り寄るカイリちゃんに向かって首を横に振った。
「ううん、そんなに何度も謝らないで。幸い私も九条くんもケガはないし、そもそも私が不用意に近づこうとしたのが悪いんだから」
「けど……っ!!」
「それよりも私からも確認させて。カイリちゃんは〝人魚の半妖〟……それで間違いないよね?」
「――――っ!?」
私の言葉にカイリちゃんが驚いたように目を見開く。
そうして少しの間こちらをジッと見た後、やがてボソリと彼女は独り言のように呟いた。
「そ……うか。半妖ってことまで、とっくに見抜かれてたのか……」
「カイリちゃん……」
「はぁー、分かった。そこまで知られてたんじゃ、あたしの負けだ。……いいよ。あたしの秘密、全部話す」
深い溜息をひとつ吐いた後、私達にそう告げたカイリちゃんは苦く笑った。
