「えっと、九条くん。同じクラスだし知っているとは思うけど、生徒会メンバーで書記の雨水くんと、会計の夜鳥くんだよ」
「ああ、もちろん知っているよ。二人とは夜会で一度だけだけど、挨拶させてもらったこともあるからね」
「夜会!」
あ、そっか。雨水くんは蛟の一族で、夜鳥くんは鵺の一族。それぞれ爵位を賜っている由緒正しい妖怪の一族であるし、貴族同士顔見知りであってもおかしくない。
「こうして言葉を交わすのは久しぶりだね、元気にしてたかい? 雨美、夜鳥」
「は、はい……」
「元気です……」
「……?」
しかしキラキラとエフェクトがかかっていそうな完璧な笑みの九条くんに対し、普段はもっと元気のいい雨美くんと夜鳥くんの顔色が悪い。まあ貴族同士だと、上下関係とか色々あるのかも知れないな。貴族もなんだかんだ大変だ。
そう結論づけて、ちょうどいいので二人に報告をしておく。
「ところで二人とも、昨日先に帰っちゃってたから言えなかったけど、今日から九条くんも生徒会に出席してもらうことになったから。これからはちゃんと生徒会長として仕事してくれるんだって」
「「――――」」
言った瞬間、二人の声にならない悲鳴を聞いた……気がした。
一体どんな説得をしたんだと言わんばかりの訴えるような視線を二人からビシバシ感じたが、契約のことは内緒なのでとりあえず笑顔で誤魔化しておく。
「あはは。ところで二人も一緒にごはん食べる?」
それから一応二人も一緒にと食事に誘ってみたが、謹んで辞退された。
そりゃそうだ。こんな強者溢れる妖力がだだ漏れの男と食事だなんて、恐ろしい程の威圧感で食事がまともに喉を通らないに違いない。
……そんな男と私は今から昼ごはんなんですけどね。とほほ。