「――なぁ、アンタ」
「あ、カイリちゃん。おめでとう!」
表彰式を終えたカイリちゃんがステージ下へと降りて来たので、私は笑顔で祝福する。
するとまたもやカイリちゃんはプイと素気無くそっぽを向いた。
「別にアンタに言われても嬉しくないけど。……まぁ、ありがとう」
うん。本当に素直じゃないけど、いい子なんだよなぁ。だからこそ、約束はちゃんと守ってあげたいんだけど……。
「あのね、カイリちゃん。約束はちゃんと守るつもりだけど、今すぐって訳にはいかなくて……」
「それは分かってる。アンタが帝都に戻ってから、もし探しても見つからなかったら、その時はそれでもいい。ちゃんと約束を守ってくれるなら」
「あ……」
思いがけずアッサリと頷かれてしまい、またもや罪悪感が顔を出してきた。
私が正体を明かせば全部スッキリすることは分かっている。だけど縫いつけられたように、上手く口は動いてくれない。
「……なぁ」
「え?」
煮え切らずにずっとモゴモゴと口を動かしていると、不意にカイリちゃんが口を開いた。
「さっき助っ人で呼んだ黄色いツンツン髪って、アンタの恋人か? 前にアンタを庇った銀髪も恋人なんだろ?」
「へ……?」
黄色いツンツン髪……。銀髪……。
「~~~~っ!!?」
彼女の言わんとすることを理解しようと脳をフル稼働し、そうしてようやく理解した瞬間、私の頭は大爆発した。
「こっ……恋人じゃないし!!!」
「どっちが?」
「どっちも!!!」
いやどっちも恋人だったら、えらいことじゃん!! カイリちゃんは私をどんなヤツだと思ってるのっ!?
そんな勘違いをされていた上に、指摘までされるとは……! 絶対お母さんが途中で変な無茶振りをしたせいだ!!
恥ずかしさで顔が燃えるように熱い。
しかし誤解だと必死に首を振る私に、カイリちゃんは更に問いかけてきた。
「――でもアンタは好きなんだろ?」
「……え?」
「あの銀髪こと。コンテスト中もそいつの視線を気にして、途中から全然食が進んでなかったし」
「…………」
〝でもアンタは好きなんだろ? あの銀髪こと〟
好き? 好き?
私が九条くんを……〝好き〟…………?
「――――」
好き……。
頭の中で何度も何度も繰り返すその言葉は、自分でもビックリするくらいにしっくりときて。
ずっと見つからなかった答え。気づいてしまえば至極単純な答え。
見つかった瞬間、頭の中のピースがカチリと嵌る。
そんな音がした。
