雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 誰……呼ぼう? 

 とっさに挙げちゃったけど、誰を呼ぶかまでは全然考えてなかった……!


「ほらほら、早く!」

「ううーん……」


 そのまま悩んでなかなか答えない私に焦れたのか、ついにお母さんが無茶振りをし出す。


「ほらほら! 早く呼ばないと、カイリに負けちゃうわよ!? あっ、それか今ここで好きな男の子の名前を暴露しちゃってもいいのよ?」

「ちょっ、なんでそうなるの!? そんなのいないし!! 変なこと言わないでよ!!」

「えー、いないの? 女子高生の癖につまんないわねぇー」

「いないよっ!!」


 真っ赤になって反論する頭の中に、何故か一人の人物が浮かんだけれど、私は慌てて考えを散らすようにして首を振った。


「じゃあ結局、誰を呼ぶのよ?」

「それは……」

『君が有能なのは分かっているけど、どうか無理はしないで。本当に困ったら絶対俺を頼ってよ』


 脳裏を過ぎるのは、かつて()に言われた言葉。

 私は胸元に揺れるホタル石をぎゅっと握り締め、そして――……。


「――夜鳥くんッ!! すぐこっちに来てぇーーッ!!!」

「はぁっ!? オレェェェ!!?」


 私が呼んだのが予想外だったのか、観客席に座る夜鳥くんが素っ頓狂な声を上げる。

 そしてその隣に座る九条くんが騒ぐ夜鳥くんを見て驚いた顔をしているのがチラリと見えて、私は慌てて視線を逸らした。

 何故かは分からないけど、なんとなく気まずい。


「はーいっ! じゃあまふゆご指名の夜鳥くん! ステージにどうぞーーっ!!」


 お母さんに促された夜鳥くんは、周囲の観客達に(はや)し立てられ渋々といった感じでステージに上がって来た。
 そして私の代わりに巨大かき氷の前にどっかりと座り、ジロリと私を睨む。


「お前なぁー、なんでそこでオレを呼んでんだよ……」

「や、だって夜鳥くん、甘いもの好きじゃん……」


 モゴモゴと口ごもる私に夜鳥くんが呆れたように溜息をついて、かき氷を食べ始める。

 うう……。だってだって、大量にかき氷を食べて膨らんでいるこのお腹を間近で見られたくなかったし。

 ……て、え? 誰に見られたくないって??


「…………?」


 なんで私、さっきから〝彼〟のことばかり――。