「――スタート!!」
「制限時間は15分よ! 二人とも頑張って!!」
観客とお母さんの声が砂浜に響き、私とカイリちゃんは一斉にかき氷を食べ始める。
シャクシャクシャク……。
うん。かき氷自体は山のように巨大であるものの、味はいつものお母さんのかき氷だ。美味しい。
ふわふわの白雪みたいな氷の上に、この前のバーベキュー後にも食べたマンゴーソースと更にカットしたマンゴーがたっぷりと盛りつけられている。
今はちょうどスタートから5分ほど経過した頃だろうか?
やはり私とかき氷は相性が良いらしく、スルスルと氷が喉を通って胃の中へと収まっていく。
「まふゆのスピードがスタートからずっと変わらないわね! もう三分の一を食べきったわ!!」
「まふゆちゃん、頑張れぇーーっ!!」
朱音ちゃんの声援が耳に届き、良いところを見せようと私は更に食べるスピードを上げる。
このまま勢いに乗ってドンドン食べ進めて、カイリちゃんと差をつけなければ!!
気合いを入れ直した私は、スプーンを氷に突っ込んで一気に山を崩した。
――――しかし、
「うっ……!?」
突然に頭に走る、ズッキーン! という鋭い衝撃。
「あいたたたた……!」
「あら! 急にまふゆが苦しみだしたわ!! これは冷たいものを一気に食べて、頭痛が起きたのかしら!?」
はい、そうです。
体の作りは人間とそう変わらないので、雪女と言えども慌ててかき氷を食べると頭が痛くなるんです。
けれどこんなに悶絶するほど痛くなったのは初めてだ。このコンテスト、想像以上に過酷である。
……ていうかなんでこのコンテストに参加者が集まらなかったのか、今ハッキリと理解した。
女子がっ! 水着でっ! 公衆の面前でかき氷早食いっ!!
字面だけ見てもアウトである。
心なしかお腹周りがぽっこりと膨らんできたように感じて恥ずかしい。お腹の中に至っては、かき氷の水分でもうチャポンチャポンだ。
だんだんかき氷を見るのも嫌になってきた……。