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「――なぁ、アンタ」
「え!?」
カイリちゃんに話しかけられてハッと我に返ると、目の前には大勢の観客。
ああ、そうだ。半ば現実逃避に頭の中で先日の出来事を思い出していたが、今私はステージの上にいるんだった。
いけない、いけない。シャキッとしないと。
「どうしたの?」
首を傾げてカイリちゃんを見れば、彼女は少し困惑したような表情で、口をモゴモゴとさせている。本当にどうしたんだろう?
「いや、あのさ……。さっき〝ミスコン〟がどうとか聞こえたけど、アンタらまた知らないんじゃ――……」
「え?」
カイリちゃんが何事かを言いかけた時、またもお母さんのマイク越しの大音量が砂浜に響き渡る。
「さーて! 出場者の紹介も終わったことだし、早速コンテストを始めようかしら! 例のモノ、よろしくーー!!」
お母さんが合図をすると、ステージ下からスタッフらしき人達が机とイスを二組ずつ運んできた。
え、何なに? 座って何かさせるの??
「はいっ、お待ちどぉーーっ!!」
戸惑う私をよそに、威勢のいい掛け声と共に巨大なかき氷がドンッ!! と、それぞれの机に置かれる。
「えっ……!?」
なんだこの、盛られ過ぎて山みたいになっている巨大なかき氷は……!?
呆然と突っ立っていると、かき氷を運んできたスタッフさんが私に席へ着くよう促してくる。
隣を見れば、カイリちゃんは既に用意されたイスに座っていた。
「え、えっと……?」
とりあえず席には着いたものの、目の前にそびえるかき氷の山を前にして、嫌な予感しかしない。
ま、まさか……?
この先の展開がなんとなく読めてきた時、お母さんが声を張り上げた。
「はーいっ!! 準備も出来たところで、ピチピチ☆渚のマーメイドコンテストをいよいよ始めちゃうわよーーっ!! ルールは簡単! 今回の為に特別に用意した、この巨大かき氷を制限時間内により多く食べた方の勝ち! ねっ、簡単でしょ?」
やっぱし、思った通り!!
いや、「ねっ、簡単でしょ?」じゃないし!!
それってミスコンじゃなくて、早食い競争じゃん!?
「ちょっ、ちょっとちょっと! お母さんっ!!」
「何? 時間押してるんだから、手短にね」
堪らずお母さん呼びつければ、露骨に今忙しいという顔をされるが知ったことではない。
