雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


「――なぁ、アンタ」

「え!?」


 カイリちゃんに話しかけられてハッと我に返ると、目の前には大勢の観客。

 ああ、そうだ。半ば現実逃避に頭の中で先日の出来事を思い出していたが、今私はステージの上にいるんだった。
 いけない、いけない。シャキッとしないと。


「どうしたの?」


 首を傾げてカイリちゃんを見れば、彼女は少し困惑したような表情で、口をモゴモゴとさせている。本当にどうしたんだろう?


「いや、あのさ……。さっき〝ミスコン〟がどうとか聞こえたけど、アンタらまた知らない(・・・・)んじゃ――……」

「え?」


 カイリちゃんが何事かを言いかけた時、またもお母さんのマイク越しの大音量が砂浜に響き渡る。


「さーて! 出場者の紹介も終わったことだし、早速コンテストを始めようかしら! 例のモノ、よろしくーー!!」


 お母さんが合図をすると、ステージ下からスタッフらしき人達が机とイスを二組ずつ運んできた。

 え、何なに? 座って何かさせるの??


「はいっ、お待ちどぉーーっ!!」


 戸惑う私をよそに、威勢のいい掛け声と共に巨大なかき氷がドンッ!! と、それぞれの机に置かれる。


「えっ……!?」


 なんだこの、盛られ過ぎて山みたいになっている巨大なかき氷は……!?

 呆然と突っ立っていると、かき氷を運んできたスタッフさんが私に席へ着くよう促してくる。
 隣を見れば、カイリちゃんは既に用意されたイスに座っていた。


「え、えっと……?」


 とりあえず席には着いたものの、目の前にそびえるかき氷の山を前にして、嫌な予感しかしない。

 ま、まさか……? 

 この先の展開がなんとなく読めてきた時、お母さんが声を張り上げた。


「はーいっ!! 準備も出来たところで、ピチピチ☆渚のマーメイドコンテストをいよいよ始めちゃうわよーーっ!! ルールは簡単! 今回の為に特別に用意した、この巨大かき氷を制限時間内により多く食べた方の勝ち! ねっ、簡単でしょ?」


 やっぱし、思った通り!! 
 いや、「ねっ、簡単でしょ?」じゃないし!! 

 それってミスコンじゃなくて、早食い競争じゃん!?


「ちょっ、ちょっとちょっと! お母さんっ!!」

「何? 時間押してるんだから、手短にね」


 堪らずお母さん呼びつければ、露骨に今忙しいという顔をされるが知ったことではない。