雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 お母さん、今なんて? 二人? ニ、に、2……。


「にぃぃぃぃぃぃぃーーーーっ!!?」


 二名って何!? 二名って!!?

 思わず観客席まで聞こえそうなくらいの大絶叫を、私は上げる。


「あらあら? なかなかステージに上がって来ないわね〜?? 魚住カイリちゃんと雪守まふゆちゃーん? 早くステージへどうぞ〜」

「くっ……!」


 お母さんの飄々(ひょうひょう)とした声色に、ギリっと唇を噛む。
 確かに前にお母さんが〝選手の集まりが悪い〟とは言っていたけど、まさか私達二人だけとは夢にも思わないじゃないか……!!

 衝撃の事実に体が震える。私に知られたら逃げると思って、絶対今まで黙ってたな!!


「カイリ、まふゆ。早く来なさい」

「うう……」


 しかし名指しで呼ばれている以上、もはや逃げる時期は過ぎている。腹を括るしかないか……。


「朱音ちゃん、じゃあ私行くね」

「うん。二人なのは驚いたけど、頑張ってね!! ミスコンは笑顔が大切だよ! 大丈夫! まふゆちゃんなら、みんなを悩殺出来るよ!!」

「う、うん。ありがとう……」


 悩殺はさておき、励ましてくれることには素直にお礼を言って、私はカイリちゃんの後ろに着いてステージへと上がる。


「あ、や〜っと来たわぁ! さぁみんな! 二人に盛大な拍手を〜!!」


 ステージに立った瞬間、割れんばかりの拍手に包まれて、また羞恥心がぶり返してくる。

 けれど観客席に座る九条くんと木綿先生に雨美くんと夜鳥くん、そしてステージ下から戻って来た朱音ちゃんといった気心知れた顔ぶれが見えて、ホッと少しだけ落ち着いた。

 特に九条くん。お城で発作を起こした時はどうなるかと思ったけど、あの日以降は予期せぬ発作は起きていない。

 それは本当によかったのだけれど……。


「…………」


 私は今も身につけているホタル石にそっと触れて思い出す。

 ――あの日起きた貴賓室での出来事を、私は九条くんにしか話していなかった。