雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


「雪守さん、俺が(おご)るから昼一緒に食べに行こう」


 桃色ピンクな空間の中、なんとか4時限目は終わった。
 ゲッソリとやつれて教室を出て行く先生に心の中でエールを送り、さぁお昼は何食べよっかなと椅子を立ち上がる。するとそんな私に唐突に、九条くんが横から声を掛けてきたのだ。


「え……?」


 お昼? いや、無理でしょ。頭ではちゃんとそう言ったのだが、口はとっさに動かず固まる。


「行こう」

「え、あ」


 するとそんな私の右手を、九条くんが恐ろしく自然かつスマートに取り、そしてあれよあれよという間に、気がつけば教室の外へと連れ出されてしまう。
 その際女子達の絶叫が教室から響いている気がするが、幻聴だと思いたい。……でも絶対幻聴じゃないっ!
 あああ! 私の人生の平和の為に九条くんと契約を結んだというのに、これじゃあ意味ないじゃないか!! 私がいじめられたら、100パーセント九条くんのせいだ!!

 ていうか、え? 奢る……の? 私に? 誰が? 九条くんが??

 思考がまとまらず戸惑う私をよそに、どうやら目的地らしい学食へと到着してしまう。


「え……?」

「ねぇ、あれって九条様……」

「誰か連れてる」

「て、雪守さんじゃん」


 ゴミゴミと混雑した学食に入った瞬間巻き起こる、周囲からの好奇の視線と(ささや)き。
 それに対し、「違うんです! 私はこの人とは無関係なんです!!」と一人一人言って回りたいが、しかし九条くんにしっかりと手を取られたままな時点で無関係を装うことは難しいと気づき、またもや私は絶望した。

 うわぁん。グッバイ、私の平穏な学生生活。