「……陛下?」
その様子を訝しげに見れば、陛下がポツリと呟く。
「そうか……親友。私達は親友だったのだな」
「…………?」
先ほどから陛下の言葉にどこか違和感を感じる。
なんだかまるで、〝いなくなった人〟を懐かしんでいるような――……。
「っ!!」
思い至った嫌な想像に、ドクンドクンと痛いくらいに心臓が波打つ。
しかしそれでも知らねばという気持ちに突き動かされて、意を決して私は陛下に尋ねた。
「……あの、陛下。病気のことをご存知なのならば、どうか私に教えてください。この病気は治るんですよね? 陛下のご友人は、今はどうなさっているのですか……?」
「…………」
なんとか言い切ると、陛下はじっと私の瞳を見つめる。
そしてその陛下の吸い込まれそうな黒い瞳が微かに揺らいだ時、ゆっくりと彼が口を開いた。
「私の友人は……」
「…………」
「〝紫蘭〟は、今は――……」
――ガチャン!!
「!!?」
と、そこで突然勢いよく貴賓室の扉が開き、陛下の言葉を固唾を呑んで待っていた私の心臓が飛び出しそうになる。
「陛下、公務のお時間です。先に言っておきますが、もうこれ以上休憩時間は延ばせませんからね。……おや?」
ブツブツ言いながら貴賓室に入って来た人物が、私を見て目を見開く。
対する私もまた、内心「あっ!」と驚いた。
何故ならば、目の前に立つのは先ほど朱音ちゃんが見せてくれたスケッチの人物――つまり鬼一族近衛家の当主にして日ノ本帝国宰相でもあるという、あの白髪の紳士だったのである!
「~~~~っ」
まさかの国の重要人物二人に囲まれて、やっとこの状況に慣れてきた頭がまたもや混乱する。
ていうかこの状況じゃ、私が勝手に貴賓室に忍び込んだ輩みたいに見えるし、もしかしなくても怒られるんじゃ……!?
そう考えてぎゅっと身構えていると、宰相さんが大きな溜息をついた。
