「ダメじゃないか! 線の内側まで出て来ちゃ! さぁ、線の外まで下がった下がった!!」
「…………線?」
警備員さんが地面を指差すので、私達も地面に視線を下ろす。
すると確かに長い黄色の線が左右に一本ずつ地面に引かれており、観光客達はみんな線の外側に立っているようだった。
――どういうこと? というか、
「あれ? なんかみんな線のギリギリ外側に陣取ってない? お城を見に来たって訳じゃないのかな?」
「本当だね。妙に色めき立っているし、何かあるのかも。……すみません、今日はこれからイベントでも行われるんですか?」
九条くんがそう尋ねると、厳めしい警備員さんが驚いたように目を瞬かせた。
「ええっ!? もしかして知らなかったのかい!? 今日はこれから、皇帝陛下が城の視察に訪れるんだよ!」
「え……、ええっ!?」
「皇帝陛下がティダに!?」
予想外のことに私達は全員、驚きに目を見開く。
確か皇帝陛下は数日前に、雨美くんや夜鳥くんのお父さん達を皇宮に呼んでいたと聞いていたが……。それはもう終わったのだろうか?
「陛下はもう間もなく到着されるよ。見るならちゃんと線まで下がってね」
「は、はい。ありがとうございます」
なるほど。それで警備が異様に物々しい上に、観光客が色めき立っていたのか。
「どうする? せっかくだし俺達もこのまま皇帝陛下が通るのを待ってみる?」
九条くんの言葉に全員が頷いた。
「はい! 皇帝陛下を拝見出来るチャンスなんて、もう二度と無いかも知れませんしね!」
「是非待ちましょう!」
元気に返事する雨美くんと夜鳥くんの貴族コンビに、私は「あれ?」と首を傾げる。
