「バッカだなぁ雷護は。こうなるって分かりきってるのに」
「うるせぇっ! それでもやるのが男のロマンだろうが!!」
「夜鳥?」
「夜鳥さん?」
「はい、サーセン」
「あはは……」
黒焦げになった体でまだブツクサ言っている夜鳥くんを九条くんと朱音ちゃんが牽制する。
ちょっとしたトラブルはあったものの、無事に水着を購入した私達は、昼食をとるべく今は繁華街にある私オススメのお店へと向かっていた。
「うわっ、何これ気持ち悪っ!! 豚の顔が干してあるんだけど!?」
「ああ、それはチラガーだね。見た目はグロいけどお酒に合うって、お母さんはよくおつまみにしてるかな」
「うえ〜、こんなのよく食べられるね」
ティダ唯一の繁華街だけあって、周囲には様々なお店が点在している。
どうやら雨美くんが指差したチラガーが干してあるお店は、珍味の専門店のようである。
「おい、見ろよ! この酒なんか、小さい水輝が浮かんでるぞ!!」
「誰がボクだよ!? それは蛟じゃなくて、ただの蛇じゃないか!!」
今度は夜鳥くんが珍味の専門店の隣の健康酒を扱うお店を指差した。
確かに瓶詰めの液体の中に小さな蛇らしきものが浸かっているが、これは……。
「ハブ酒だね。飲むと健康になるんだって」
「うへー。飲んだ方がぜってぇ具合悪くなりそうじゃね?」
そんな調子であちこちの店を冷やかしながら歩き、ちょうど時計の針がお昼を差した頃、お目当てのお店へと到着した。
「ソーキそば? お蕎麦のお店?」
店の前にある看板を見て朱音ちゃんが不思議そうに首を傾げる。
ふふふ。よくぞ聞いてくれました。