雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


「朱音ちゃーん、本当にこれでいいの? すごいスースーするんだけど……」


 一人試着室で着てみれば、思った以上に心許ない姿にソワソワする。
 朱音ちゃんの言うことはなんでも聞いてあげたいが、やはりこれは……。


「えーどんな風? 見せて見せて!」

「うう……」


 試着室を開けるよう急かされて渋々開けば、待ち構えていた朱音ちゃんが目を見開いた。


「わっ、めちゃくちゃ似合ってるよ! すごい大人っぽい! あ、そうそう。まふゆちゃんが試着してる間に他にも良さそうな水着が色々あったから、こっちも着てみてね!」

「ええ……」


 そう言ってドサドサと色も形も様々な水着を渡されるので、思わず口元が引きつる。
 この強引さ。朱音ちゃんってば、あの大柄オネェな演劇部の部長さんに似てきたような……。


「お、いたいた!」

「?」

「雪守に不知火(しらぬい)! ちょうど試着してたのか!」

「……? 夜鳥くん? 九条くん達と男性用の水着売り場に行ったんじゃ……」


 大量の水着にゲンナリしていると、何故か夜鳥くんが妙にテンション高くこちらへと駆け寄って来た。
 そしてそのまま不躾にも私を上から下までジロジロ眺めたと思ったら、ボソリと呟いたのだ。


「色気が足りない」

「はっ!?」


 いきなり現れてのダメ出しに、私の目が三角につり上がる。恥ずかしいとはいえ、この水着は朱音ちゃんが私の為に選んでくれたものだ! それをダメ出しとはなんと失礼なっ!!

 ムッと唇を尖らせれば、夜鳥くんが「まぁ話を聞け」とこちらを(なだ)めてくる。


「考えてもみろ、ミスコンっつーのは何人もの水着姿の女を審査するんだぞ。んなありきたりなビキニじゃ、審査員の目は惹けねーよ」

「まーた、何をそれらしく御託を並べて……」

「なるほど、一理ありますね」

「朱音ちゃんんん!!?」


 まさかの同意にギョッとするが、朱音ちゃんは冷静な表情で夜鳥くんに訊ねる。