雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


「ああーー! これいい! まふゆちゃんっ! これ着てみて!!」


 真面目な話もひと段落し、当初の目的である水着探しを再開した朱音ちゃんは、そう言って一枚の水着を私の前に掲げて見せた。

 それは黒の上下に分かれた水着。布面積は少なく、その形はいわゆる――。


「あ、朱音ちゃんっ!! これビキニだよ!!?」


 私が真っ赤になって水着を指差せば、朱音ちゃんが当然と言うように頷いた。


「そりゃそうだよ、ミスコンに出るんだもん。見た目の美しさを競うんだから、積極的に体の線は出していかないと」

「えぇ……? 昨日の私が持ってたみたいな感じの水着じゃダメなの……?」


 私は昨日タンスから引っ張り出したワンピースタイプの水着を思い浮かべる。

 朱音ちゃんにはお子ちゃまと言われてしまったが、あれは上下に分かれてないし、お腹から太ももまですっぽり隠れるので安心感があった。見た目も可愛いものが多いので、コンテスト映えもしそうではないか。

 そう頑張って説得を試みたのだが、朱音ちゃんは静かに私を見つめて、一言こう言った。


「――――甘い」

「えっ?」

「まふゆちゃんはカイリちゃんに勝ちたいんだよね?」

「そ、それはもちろん!」


 カイリちゃんはスラリと背が高く、まるでモデルのように長い手足だった。顔立ちも派手なギャルメイクに負けない目力強めの美人さんだったし、正直勝算は薄い。
 でも負ければ私の正体がバレる瀬戸際である。お母さんの意図は分からないが、負ける訳にはいかない。


「だったら、まふゆちゃんのスタイルの良さを活かさない手はないよ!! 前面に押し出して、審査員を悩殺しなきゃ!!」

「の、悩殺!?」


 またまたご冗談をと思ったが、朱音ちゃんの表情は真剣そのもので、冗談を言っているようには見えない。
 そして「はい」とにこやかに渡されるのは、やっぱりさっきの黒ビキニで……。


「うう……。分かった、着てみるよぉ……」


 朱音ちゃんとビキニを何度も交互に見て、結局私は折れるしかなかった。