「!!?」
「……まふゆちゃん」
「は、はい……」
ただならぬ様子に言い知れぬ恐怖を感じて、思わず敬語で返事をする。
「もう一度聞くよ。ほんとーに、この水着でコンテストに出るつもり?」
「え、えーっと、その水着ならワンピースみたいで体が隠れて恥ずかしくないし、何より動きやすくて――」
「まふゆちゃん」
「はい」
朱音ちゃんがまとう妖力はどこか九条くんを彷彿とさせる恐ろしいもので。再度名前を呼ばれた私は思わず居ずまいを正して、お言葉を待つ。
そして――。
「こんなお子ちゃまな水着で、カイリちゃんに勝てる訳が無いよーーっっ!!!」
瞬間、家が揺れたのではと思うほどの大絶叫が巻き起こる。
ショックで心臓がバクバクと音を立てていると、がっちりと両肩を朱音ちゃんに強く掴まれ、そのままどアップで顔を覗き込まれた。
「あ、朱音ちゃ……」
「こうなったら仕方ない。明日わたしと一緒に水着を選びに行こう!!」
「――え゛?」
決定事項とばかりに宣告されて、思わず声が上擦る。
「まふゆちゃんっ!! わたしが絶対に優勝出来るよう、まふゆちゃんにピッタリの水着を選ぶから、大船に乗ったつもりでいてねっ!!」
「え、ちょ、待……!」
待ってと言おうとして、「うっ」と言葉が詰まる。
キラキラと楽しそうに私を見つめる朱音ちゃんは、湯上がり効果も相まって大層可愛らしい。天使を超えて、もはや女神である。
そんな彼女の期待を裏切ることなど出来るだろうか? いや出来ない。(また反語)
「……分かったよ」
結局私は観念するしかなく、こうして明日、私の水着探しをすることが決まってしまったのであった。
