「くくく、九条く……!」
「? どうかした?」
あわあわとする私を見て、九条くんが不思議そうに首を傾げる。それに私は涙目で叫んだ。
「かき氷っ!! 飛ばされた衝撃で、手ぇ離しちゃった!!!」
両手を見れば、先ほどまでしっかり持っていたかき氷が忽然と消えてるではないか!!
間違いなくどっかへ吹っ飛んだに違いない。ショックでうなだれていると、ポンポンと頭を軽く叩かれた。
「かき氷なら大丈夫だから」
「へ?」
「あれ」
視線で促されて、私も九条くんの視線の先を辿る。
するとそこにいたのは……。
「あ」
「まふゆちゃん、神琴様ー! かき氷無事にキャッチしましたよぉーー!!」
「朱音ちゃん!! よ、よかったぁ……!」
元気に腕を上げた朱音ちゃんが、遠くから大きな声で叫んでる。その両手にはしっかりとかき氷が握られていて、やはり先ほどの衝撃で随分と飛ばされたらしい。
「はぁ……、気が抜けた」
とりあえずかき氷の無事を確認し、ホッと息をつく。するとそんな私の目の前に、バタバタと誰かが走って来るのが視界の端に見えた。
それにその人物へと顔を向けた瞬間、ぐいっと横から強い力で抱き寄せられ、私の体は一気に傾いた。
「えっ、わっ!?」
「――それで。突然なんのつもりなんだ、魚住カイリさん。先ほどの力は妖力なのか? 君は一体何者なんだ?」
矢継ぎ早にカイリちゃんに問いかける九条くんの声。
それはまるで地を這うように恐ろしく重く響き、私の背筋がゾッと凍った。
横で聞いていただけの私ですらそうなのだから、直接面と向かって言われたカイリちゃんの恐怖は計り知れないだろう。
