「え……?」
カイリちゃんの言葉に私だけでなく、横にいる九条くんと朱音ちゃんも目が点になる。
「え、えっと、〝氷の妖力をもつ妖怪〟を紹介って……?」
思わず上擦った声でオウム返しをしてしまう。まさか遠回しに私のことを言っているのだろうか?
特に正体を気取られるようなことをした心当たりは無いのに。心臓がバクバクとイヤな音を立てる。
「ちょっと待った。何故それをまふゆに頼む? そもそも君は何故、氷の妖力をもつ妖怪を探しているんだい?」
固まってしまった私の代わりに、九条くんがカイリちゃんに質問してくれる。
するとカイリちゃんは少し迷ったように視線を彷徨わせた後、やがてポツポツと話し出した。
「それは……。訳あって、氷の妖力を使ってやってほしいことがあるんだ。けど南国のティダにはそんな妖怪いないだろ? だから……」
「つまり氷の妖力をもつ妖怪を探そうにも、暑い南国のティダにはいない。だから全国から生徒が集まる帝都の日ノ本高校に通うまふゆならば、思い当たる妖怪がいるのではないかと、声を掛けたということかい?」
「ああ、そうだ」
九条くんの言葉に、カイリちゃんはこくんと頷く。
ということは、私の正体に気づいて声を掛けてきた訳ではないということか。ひとまずホッと胸を撫でおろす。
「知らないか? 氷の妖力をもつヤツ」
「うーん……」
けれどカイリちゃんには、なんと答えればいいんだろう。
確かに日ノ本高校には人間妖怪問わず全国から多くの生徒が集まるが、実は氷の妖力を持つ妖怪はあまりいない。いや、あまりというか、多分私以外にはいないのではないだろうか?
ここで知らないと言えば、彼女に嘘をつくことになる。そう思うと気が重いが、それでも私の答えは決まっていた。
