意外な言葉に目を丸くする。でも同時に納得もした。
確かに九条くんの妖力は常に体から溢れ出すほど強大で、他の妖怪と比べても別格の強さだ。大抵の妖力は彼の妖力の前には塵も等しいのだろう。
「ん? ということは、やっぱり私の妖力ってすごいのかな? なんで九条くんに効いたんだろう……?」
「それは俺の方が知りたいよ。だから昨日も聞いただろ? 〝雪女しか知らない特別な妖術でも使った?〟って」
「あー……」
そういえばそんなことも聞かれたっけ?
でも本当に私は雪女に関することも、妖術に関することも、何も知らない。お母さんはあまり私にそう言った話を聞かせたくないような節があったからなぁ……。
「ごめんね。私に知識があったら、九条くんの病気を治す手掛かりになったかも知れないのに……」
「あ、いや」
しゅんとして謝ると、九条くんは戸惑ったように首を横に振った。
「いや、これは俺の問題であって、雪守さんが責任を感じる必要はない。……ごめん。こんな話をすれば、人のいい君はあっさり俺に協力してくれそうだとは思った。だから昨日の時点では言いたくなかったんだ」
「…………」
妖力が効かない九条くんに対し、何故か私の妖力は効く。そして九条くんの症状を鎮めることが出来るのは、今のところ私だけ。
つまり私が来なければ、九条くんは今日も保健室で病に苦しみながら、一日を過ごすつもりだったということだろうか?
以前と違い私という回復手段があることを知ってしまったのに、なおもひたすらベッドの中で一人耐える苦痛はどれ程だろう?
なんだか、九条くんて……。
