雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「おーっし! 早速釣りだ! 釣りに行くぞぉ!!」

「あ、雷護(らいご)待ちなよ!!」


 とりあえずバーベキュー出来る場所を確保して荷物を置くや否や、ちゃっかり釣竿を持った夜鳥くんが我先にと海岸へと走っていき、それを追いかけるようにして雨美くんも走り去って行く。


「待ってよ、二人とも!!」


 慌てて呼び止めるが、しかし二人の姿は人混みに呑まれてあっという間に見えなくなってしまう。


「もうっ! 相変わらず自由なんだから!」

「あはは、仕方ないですよ。ではバーベキューの準備は僕がしておきますから、みなさんも釣りをしてきてください」

「え!? 一人じゃ大変ですよ! だったら私も……」

「ならわたしが先生を手伝うから、まふゆちゃんと神琴(みこと)様は二人を追いかけて! わたし、釣りは出来そうにないから」

「ええっ!!?」


 朱音(あかね)ちゃんの言葉に大袈裟に驚けば、にっこりと笑った朱音ちゃんがぐいぐいと私の背中を押す。


「さ、行って」

「いやいや、でもっ! 先生が一緒とはいえ海だし、開放的になったチャラい男達に、朱音ちゃんがナンパされでもしたら……!!」

「心配し過ぎだよー。それよりわたし、おっきな海老(えび)が食べたいな! まふゆちゃん頑張ってね!」

「うう……」


 そんな天使の笑顔で言われては、頷かなければ女が廃るってもんじゃないかぁ!!


「分かったっ!! 私頑張るよ、朱音ちゃんっ!!」

「朱音……」

「ふふっ、神琴様も頑張ってくださいね」

「?」
 

 私達のやり取りを見ていた九条くんが、何故か呆れたように溜息をついた。それに対して朱音ちゃんは楽しそうにクスクスと笑う。
 以前までは九条くんを見ると首振り人形状態になっていた朱音ちゃんだが、あの九条家での出来事以降は随分と慣れてきたのか、顔を赤らめることも無くなっている。


「チャンスは逃がさず、押せ押せですよ! 神琴様!」

「朱音……」

「??」


 しかし二人の話の意味が私には何のことだか分からず、ただ首を傾げるしかなかったのだった。