雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「…………何?」


 どうせロクでもないことを考えているんだろうと警戒しながら問いかければ、夜鳥くんが真剣な顔で頷いた。


「いや、雪守もなかなかと思ってたけど、風花さんてマジヤベーじゃん? つーことは、雪守も将来あーなるのかなぁーと」

「???」


 何? 暗号?? 言っている意味の一割も分からん。
 しかし意味不明なことを言いながら、夜鳥くんから伸びる視線は私の顔ではなく私の首の下で――って、またこのパターンかっ!!


「何っ!? どこ見て何想像してんの!? 信じられないんだけどっ!?」

「は? 何言ってんだよ、褒めてんじゃねーか」

「今のセリフのどこが褒めてんの!?」

「いや褒めてんだろ! 胸が――」


 夜鳥くんの言葉はそれ以上続かなかった。何故なら突如彼を黒い妖力が包み、夜鳥くんの体はそのままピタリと動きを止めてしまったからである。


「あかっ……!?」


 とっさに横に立つ朱音ちゃんを見れば、指先から黒い妖力をまとったまま、静かな声が発せられた。


「夜鳥さん、――――ハウス」

「――――」


 朱音ちゃんの声にピクリと反応した夜鳥くんは、ボーっとした表情のまま、ふらふらと居間へと戻っていく。
 その背中が完全に見えなくなってから、朱音ちゃんはふぅと困ったように首を横に振った。


「全く、不埒(ふらち)な人です」

「…………」


 その圧倒的な様子を見て、朱音ちゃんだけは敵に回してはいけない。そう私は強く心に誓ったのだった。