「は? 客が増えたって? まぁいいけど、寝る場所と食事の確保は各自でやってね」
翌朝。私達が既に朝食を済ませた頃、大あくびをしてお母さんが起き出してきた。
そのまま食卓に着いたお母さんに朝食を並べながら昨夜の出来事を伝えれば、案の定二つ返事で了承してくれる。お父さんの部屋を使うことも特に何も言ってこないので、大丈夫だろう。
「あっ! 焼き魚じゃない! 朝はやっぱ焼き魚に炊き立てのご飯と味噌汁よね。はぁ〜沁みるわぁ〜」
昨日のバカでか魚を焼き魚にしたものを食卓に並べると、お母さんがそんなことを言いながらガツガツと食べ出した。
その様子に私がいない間の食生活を察して、溜息をつく。
「あー確かにその焼き魚、すげぇ美味かったよな」
「はい、脂が乗っていて甘かったです。ティダで獲れる魚なんですか?」
「わたしが昨日そこの浜で釣ったのよ」
「えっ、釣り!?」
最初は一心不乱にご飯を掻き込むお母さんをみんな遠巻きに見ていたが、お母さんの話が珍しかったのかみんなが食いつき、それにお母さんが得意げに話し出した。すぐに打ち解けたようでなによりである。
「ふぅー、ごちそうさま。じゃあわたしはそろそろ仕事に行くわ」
「あ、手伝わなくて大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。今年はアルバイトちゃんを雇ったから、アンタはみんなと遊んで来なさいな。じゃ、戸締りはちゃんとしてね」
朝食を食べ終えると、すぐにお母さんはバタバタと出掛けて行く。
昨日自分は玄関開けっ放しだった癖にとちょっと思ったが、そこは突っ込まず黙って頷いておいた。