「……えーと、もしかして私にここに来いって言ったのって、昨日のあれ一回切りじゃなかったからってこと?」
聞きたいことは山ほどあったが、とりあえず一番気になることを確かめておく。
「そう。俺は5歳の時からずっと今みたいな症状が出続けていて、基本的に毎日ベッドで寝ている時間の方が長い。学校もかろうじて通学は出来ているが、ほぼ保健室で寝ているだけだし、家にいるのとたいして変わらないかな」
「5歳から……」
九条くんはなんでもないことのように淡々と話しているが、それは相当辛いのではないだろうか。
さっきまでの怒りもどこかに吹き飛んで、一瞬で彼に同情的になってしまう。これでは本当に九条くんの言う通りお人好しだろうか?
……あ、でも。
「氷の妖力を使えば、一時的とはいえ症状が治るって分かったんだし、お医者さんで氷の妖力が使える妖怪っていないかな? 私じゃ完治はさせられないけど、きっともっと強い妖力を持った人なら、完治も夢じゃないかも……!」
名案とばかりに目を輝かせる私に対して、九条くんが微妙な顔をした。
「……いや、そもそも本来俺には氷の妖力はもとより、ほとんどの妖怪の妖力は効かないんだ。俺に相手の妖力が届く前に、俺自身の妖力が全て燃やし尽くしてしまうからね。だから昨日は驚いた。俺に妖力をかけられて、なおかつそれで長年悩まされていた症状が一時的でも消えたんだから」
「え? そうなの?」
