◇
「誰かっ! 誰か助けてっ!!」
わたしが大声で叫ぶと、近くに控えていた狐面をつけた暗部仲間が姿を現す。
「どうした!?」
「神琴様が発作を起こしたの!!」
屋敷近くの路上でグッタリと意識を失っている神琴様は、意識が無くてもなお病に苛まれているのか、呼吸が荒く、体は火傷しそうな程に熱い。
「一体何があった? 神琴様は主様に外へ出ることを禁じられているだろう?」
「それは……」
ポツポツと、わたしはさっきまでに起こった出来事を話し出す。
――そう、それは昨日の出来事だった。
◇
『どうしてぼくはこの屋敷に連れて来られたの? どうしてぼくは養子になった? ぼくは、本当の両親に捨てられて――』
『神琴様っ!!!』
昨日、神琴様が強い剣幕で〝ばあや〟に詰め寄っていた。その日の神琴様は朝から書庫に篭って読みたい本を選ばれていて、特に変わったことは無かったように思う。なのに自室へ戻って来た途端、こうなってしまった。
理由は神琴様の本当のご両親についてみたいだけど、詳しいことは何一つ知らないわたしは、ただただこの嵐が早く鎮まるよう祈り続けることしか出来ない。
――けれど、結局わたしの祈りは届かなかった。
翌日になって〝ばあや〟が消えたのだ。
『昨晩から姿を消しました』
侍女に〝ばあや〟の失踪を告げられた途端、神琴様は扉を蹴破る勢いで屋敷を飛び出してしまう。
それに慌ててわたしも後を追いかけるが、一気に興奮したせいなのか、屋敷を出てすぐのところで神琴様は発作を起こしてしまったのだ。
『うっ……!? は、……ぁ……!』
『神琴様っ!!』
