「なんだ不知火、顔真っ赤になってんぞ。まさかお前、九条様のことが好きなのか?」
「ふぇっ!?」
で、出た~っ!! 空気を読めずになんでも聞いちゃうお子ちゃま系男子~!!
私だってずーっと気になってたけど、あえて口にはせずにいたのにっ! しかもこんな公衆の面前、あまつさえ九条くんが目の前にいるってのに! なんとデリカシーの無い男よ……!!
「違いますっ!!!」
「朱音ちゃ……、え?」
〝無理に答えなくていいんだからね〟
私がそう言おうとする前に、朱音ちゃんが大声で叫んだ。
ん? 違うの?
キョトンと目を瞬かせていると、朱音ちゃんは赤い顔のまま更に叫ぶ。
「赤くなってしまうのは、ずっと神琴様の視界に入らないように気をつけていたから、視線を向けられるのが恥ずかしいからなんです! そもそもわたし、神琴様に対してはお母さんみたいな気持ちを昔から抱いていますんで……!!」
「おかっ……?」
まさかの〝お母さん〟発言に、私達がざわつく。
「お母さん……」
九条くんも動揺を隠しきれずに呟いた。
うん、気持ちは分かる。ドンマイ。
「そっか、お母さんかぁ……」
じゃあずっと感じていた疑念は、全くのお門違い。ただの私の勘違いだったんだ。ほーっと力が抜けて、自然と笑みが溢れる。
「……」
て、あれ? なんで私、こんなにホッとしてるんだろ?
内心首を傾げていると、ドンっと何か柔らかいものが私の胸にぶつかった。
「それにわたしが大好きなのは、まふゆちゃんなんですっ!!!」
朱音ちゃんが私に抱きつき、真っ赤な顔をしてこちらを見上げた。それに私は歓喜した。
「もちろん私だって、朱音ちゃんが大好きだよ!!」
「まふゆちゃんっ!!」
友情に打ち震える私達は固く抱きしめ合う。
「「「「…………」」」」
すると私達を見ていた男全員が沈黙した。
なんだよ、みんなして女同士で何やってんだとか思っているんでしょ? いいじゃないか、友情を確かめ合うくらい。
なんだか後ろから、「うわぁ、余計なこと言ってすみません九条様ぁ!!」とか、「雷護が悪いんだから早く九条様に土下座しなよね!!」とか、「あああちち!! 布だから燃えるぅぅ!!」なんて騒がしい声が聞こえてきたが……。
うん。気のせいに違いない。
