その先を聞きたくなくて、私は懐かしのあの頭突きを九条くんの頭目掛けて繰り出した。
「~~っっっー!!」
「~~~~っっ!」
するとやはりというか案の定、私達は互いに頭を押さえて石床の上をのたうち回る。
「っ……、相変わらずの石頭……」
「そう言う君もね……。急に何を……」
頭を押さえて痛みに顔を歪ませる九条くんを、私はキッと睨みつけた。
「もぉーっ! なんで朱音ちゃんも九条くんも、真っ先に自分を責める訳!? 元はと言えば監視や妨害なんか命じる方が悪いんだから、グジグジするよりそっちを締め上げる方法でも考えてよ! そしたら私に対するあれこれは、全部許す!!」
「締め上げる、って……」
一瞬ポカンとした後、九条くんが破顔した。
「っははは! まさか、あの葛の葉を締め上げるなんて言う人がいるなんて……! 本当にまふゆ、君はすごいよ!!」
「む……」
まるで本気には捉えられていないような感じがして、私は唇を尖らせる。
そりゃ相手の身分は遥か上。御簾の向こうに隠れて姿すら分からない相手だけど、でもそれくらい強い気持ちでいないと、勝てるものも勝てないではないか。
「……なんか褒められてる気がしない」
「褒めてるさ」
そこで言葉を切って、九条くんがじっと私を見つめた。
「まふゆと出会えて、本当によかった」
「ーーーーっ」
まるで噛み締めるような、真剣な表情。
知らず、私の頬がどんどん熱くなっていくのを感じる。
な、なんで!? 雪女なのに体が熱いってヤバくない、私!?
