雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「生徒会長なのに、立場は一番下になっちゃうかもね?」

「元々俺が一番新参なんだし、一番下のようなものだけど。……でもそうか、みんなが。迎えに来てくれる人達がいるというのは、こんなにも嬉しいものなんだね」

「九条くん……」


 まるで初めて知ったような言葉。
 切ない表情で笑う彼に、あの御簾(みす)の向こうにいた当主の言葉を思い出して、胸がきゅうっと苦しくなる。


「……そういえば〝朱音〟って、朱音ちゃんが九条家の妖狐だって知ってたんだ? 文化祭の準備の時、まるで初対面みたいに話してたのに」

「ああ、彼女が九条の暗部だとは知ってた。けど実際に話したのは本当にあれが最初だったんだ。彼女は決して俺に接触してくることは無かったからね」

「…………」


 朱音ちゃんの話だと、随分幼い頃から九条くんの監視をしているようだった。にも関わらず、あの時が初対面。
 保健室の時もまるで気配なんてしなかったし、なんてことのないように朱音ちゃんは言っていたが、改めて彼女が背負ってきたものの大きさに胸が詰まる思いだ。


「ただ……」

「え?」


 九条くんの声に考えるのをやめて顔を上げると、先ほどより幾分か表情を暗くしている。どうしたんだろう?


「あの保健室でのこと。朱音経由でまふゆのことが葛の葉(くずのは)に知られることは分かっていたんだ。葛の葉が朱音を使って君に何かしてくることも、すぐに想像がついた」

「あ……」


 その言葉に、私は俯く。
 なおも九条くんの話は続いた。


「ごめん、俺はまふゆの秘密が守られないことは分かっていた。俺と関われば君に危害が及ぶことも。なのに俺は、君との交換条件を承諾してしまった。初めから契約なんて成り立っていなかったのにね」

「…………」

「だからまふゆ、君との契約はもうーー……」


 ーーーーゴッ!!!