「そ、そんなの私に渡したのがあの当主にバレたら、朱音ちゃんはどうなるの!?」
「大丈夫、わたしのことは心配しないで。これでも暗部だから、逃げ切るのは得意なの。それよりも制服姿じゃ目立つから、まふゆちゃんはわたしの巫女服を着て、地下室に行って。わたしがまふゆちゃんのフリをして追手を撒くから」
「――――っ」
受け取った鍵をぎゅうっと握りしめて、私は唇を噛みしめる。どうして、どうして――。
「――っとに、朱音ちゃんのバカァッ!!!」
「…………え?」
いきなり怒鳴った私に朱音ちゃんがポカンとする。そんなこと言われると思ってもみなかったって顔だ。それがとても悔しい。
「朱音ちゃんは全部自分が悪いって抱え込んでるけど、それは当主の命令に従っただけでしょ! 当主に恩があるっていうなら裏切れないのも当然だし、そんなの朱音ちゃんが謝る必要無い!!」
「それは違うよ。恩があったって、わたしは拒否することは出来たの。にも関わらず手を下すと決めたのはわたしだし、それでまふゆちゃんのこともいっぱい傷つけて……」
「傷ついたよ、当然じゃん! 朱音ちゃんが辛い思いしてたのに、側にいたのに、〝友達なのに〟全然気づけなかった自分にムカついて悔しくて、どうしようもなく鈍感な自分が情けなくて、心がズタズタに傷ついているよっ!!」
「あ……」
ポロリ。
大きく目を見開いた朱音ちゃんのチョコレート色の瞳から一粒の涙がこぼれ、それからポロポロと次から次へと溢れ出す。
「まふゆちゃん、わたし……」
「うん」
頷いて先を促せば、ポロポロと涙と共に朱音ちゃんの言葉もこぼれ落ちる。
「嬉しかったの。生まれて初めて自分の描いた絵を褒めてもらえて。一緒に色んなことおしゃべりして。何よりまふゆちゃんと友達になれて。初めて、〝楽しい〟ってこういうことなんだって思ったの」
「うん」
震える朱音ちゃんの両手を、今度は私が包み込む。
