雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



「その……、私が九条くんと話すようになってからまだ日は浅いですが、それでも彼を見ていれば学校生活をとても楽しんでいることは分かります」


 忘れもしない、文化祭のステージ。
 あの時九条くんは私を真っ直ぐに見つめて言ったのだ。


『だからこそ、雪守さんにちゃんと言いたいんだ。あの時俺を探してくれて、俺の世界を変えてくれてありがとう』


 九条くんは授業に出られること、行事に参加出来ること、本当に心から喜んでいた。

 だから――。


「そんな彼が退学なんて望む訳が無いです! 親だって言うなら、彼が悲しむようなことしないでください! 九条くんが何を望んでいるのか、ちゃんと知ってあげてください!!」

「ふむ」


 勢いのまま言い切れば、当主が何やら思案するような声を出す。


「なるほど、なるほど。確かに最近の神琴は何者かの力添え(・・・・・・・)か、何かと目立っておったようじゃな。しかしそれはあやつには不必要なもの。あやつは誰の目にも触れず、影のように生きなければならない。――そこにそなた(・・・)の出番は無い」

「……っ!?」


 瞬間、御簾で顔が見えない当主にまるで睨みつけられたような感覚に陥り、体が固まる。

 何者かの力添え……。私の出番……。

 ヒヤリと私の背中を冷や汗がつたう。
 この口振り、当主は知っている(・・・・・)。私が九条くんの秘密を知ってしまったことを。

 そして何より、私自身の秘密も――。


「だがしかし、そなたの話を聞いて、妾も退学まではあんまりかと思い直したぞ」

「え」


 バクバクと心臓が早鐘のように鳴り響き騒がしい耳に、当主の朗らかな声が届く。


「本当ですか?」


 一転した当主の言動に戸惑いつつも、態度が軟化したことに私は素直に喜びの声を上げる。
 しかし次に発せられた当主の言葉に、私達はまた言葉を失った。


「生徒会とやらから神琴を外せ。くだらない活動に興じている暇などあやつには無い。そうすれば神琴の退学は無しにしてやる」


 それでいいだろう? と言わんばかりの言い方だったが、そんなの全っ然よくないに決まっているじゃないか!!