「~~っっっー!!」
「~~~~っっ!」
渾身の頭突きが炸裂し、私達は互いに頭を押さえてベッドの上をのたうち回る。
石頭には自信があったが、九条くんもまた石頭であったらしい。あああ、痛い。でも……!
「あっ!」
今の衝撃で九条くんの体勢が崩れた。その隙になんとか腕を振り払い、私は彼の体の下から抜け出す。
痛みは伴ったが、この込み上げる怒りを思い知らせることには成功したようだ。
「え、ええっと……」
「……何?」
「……あの、いきなり頭突きしたのはごめん。けどさっきの九条くん、なんか怖かったし……」
報復(燃やされたくない)を警戒しつつ、未だ頭を押さえている九条くんに恐る恐る声を掛ける。
「はぁー……」
するとさっきまでの苛立った気配は鳴りを潜め、落ち着いた様子で九条くんが深く息を吐いた。
「……いや、こっちこそ怖がらせてごめん。体が急に楽になったと思ったら、女の子が俺の額に手を当てていたから、ちょっとビックリしたみたいだ」
「へぇ?」
〝ちょっと〟ビックリって……。
さっきの勢いはちょっとどころじゃなく、殺気すら感じたんですが、それは。
「そ、そっか。ビックリさせちゃってごめんね。九条くんが随分苦しそうに寝てたから、思わず体温を調べるために額に触れたの。でもすっかり元気そうでよかった」
あくまでも善意の行動ではあったが、九条くんには厄介なファンも多い。勘違いさせてしまったことは申し訳なく思うので、素直に謝っておく。
……私の正体のことも、これ以上追及されたくないしね。
