「で、どうすんだ?」
「え?」
いきなり夜鳥くんに話を振られ、思案する頭を一旦止めて顔を上げる。すると夜鳥くんだけでなく、雨美くんと木綿先生までもが、こちらを凝視していた。
「九条様がいるのは間違いなく九条の屋敷だろうが、連れ戻すなら十中八九ご当主と対面すんのは避けられないぜ」
「九条家のご当主は闇に包まれた人物だよ。社交界には一切顔を出さないから、ボクたち貴族ですら、顔も名前も知らないんだ」
「……真偽は不明ではあるものの、皇帝陛下の命すら脅かそうとした人物です。退学の真意は分かりませんが、穏便に済むとは思わない方がいいでしょうね」
みんなが私の次の行動を見越したかのように口々に話す。三人の言わんとすることを悟って、私はそっと目を伏せた。
『交換条件だよ。俺が生徒会に参加する代わりに、君にはここで俺と会ってほしい』
はじまりは人の弱みにつけ込む嫌なヤツ。でもそれは、すぐに誤解だって分かった。
『いや、これは俺の問題であって、雪守さんが責任を感じる必要はない。……ごめん。こんな話をすれば、人のいい君はあっさり俺に協力してくれそうだとは思った。だから昨日の時点では言いたくなかったんだ』
最初は九条くんが隣の席に座るのすら慣れなかったのに、今じゃいない方が違和感を感じるようになっていて。
『雪守さんて考えてることがすぐ顔に出るから、分かりやすいよね』
『君はバカがつくお人好しだ』
揶揄うような言動をしたと思えば、ちゃんと私の意思を尊重してくれる。
『申し訳ありませんが、当喫茶店のメイドは接触厳禁ですので、節度ある行動をお願い致します。……ご主人様?』
『俺も、まふゆとずっと一緒にいたい』
私がピンチの時はいつだって駆けつけて守ってくれて、何よりずっと一緒にいたいって言ってくれた。
『なら、君を名前で呼ぶ権利がほしい』
『約束する』
だから私はまだ、九条くんとの契約関係を終わらせる気はさらさら無いんだ!!
