「だからそれが水臭ぇって、言ってんだよ!!」
「九条家が不穏なのは、ボク達だって貴族の端くれだし、ちゃんと分かってる。その上でボク達は君らと一緒に行動したい。……生徒会の一員として」
「…………」
二人の言葉に思わず押し黙る。
〝生徒会の一員〟
確かにもし私が二人の立場だったら、黙って無茶をしようとしてるって知ったら、間違いなく怒っていただろう。
「ごめん、二人とも」
しょんぼりと俯く。私は夜鳥くんと雨美くんにとても失礼なことをしてしまった。
九条くんは生徒会の大切な一員。決して私だけの問題ではなかったのに……。
「ま、分かりゃいいんだよ」
「そうそう。この際だし、ボクらが知ってる九条家のことも話すよ。雪守ちゃんだけ知らないのは、フェアじゃないしね」
雨美くんの言葉にハッと顔を上げる。
そうだ、九条家の黒い噂。木綿先生の話だけじゃない。私が九条くんについて知らなければならないことは、まだまだたくさんあるんだ……!
「うんっ! ありがとう! じゃあ二人にも九条くんのことで聞きたいこと、全部話してもらうからね!!」
私が力強くそう宣言すれば、二人の表情もさっきまでの呆れたものから、優しげなものへと変わる。
「おう! なんでも聞け!」
「それでこそ雪守ちゃんだよね」
そこでようやく私達は笑い合い、軽く小突いてくる夜鳥くんを躱し、雨美くんと話しながら、ワイワイと生徒会室へと入って行く。
「……ん?」
そこでふと、あることに気がついた。
はて、誰か忘れているような……?
「あのー……話がまとまったところ申し訳ないんですが、僕はこのまま放置ですか……?」
「あ」
木綿先生が廊下に簀巻きで転がったまま、所在なげに声を上げた。