「議題なんてそりゃもちろん、九条様のこと……でしょ? 雪守ちゃん」
しかし更に上がったもう一人の声によって、私の作戦は霧散した。
ここまでくれば、もはや誰の声かなど言うまでも無いだろう。
「あ、雨美くん……」
やはりというか。目の前にいたのは、いつものようにツヤツヤな青い髪を揺らす雨水くんで。
「うう……ぐす、雪守さぁ〜ん!」
そして雨美くんの後ろには、何故か胴体をぐるぐるの簀巻きにされた木綿先生が床に転がって大泣きしている。
それら全てを視界に収めた瞬間、私は今自分が置かれている状況を全て察した。
「ったくよー。水臭ぇじゃねぇか、雪守。オレら抜きで話を進めようなんてな」
「そ、それは……」
「全くだよ。朝の二人の意味深な会話、ボク達も見てたのにハブにするなんて薄情だねぇ。……木綿先生も、覚えておいてよね」
「おっ、お手柔らかにぃ……!」
ニコニコと柔和な笑顔を浮かべながら、身動きの取れない木綿先生を見つめる雨美くんに、先生が恐怖ですくみ上がった。
その様子にやっぱりこの二人を出し抜こうなんて無謀だったかも知れないと、今更ながら思い知る。
「……別に薄情とか、ハブにするとか、そういうつもりじゃなかったよ。ただ、九条くんに何が起きたのかイマイチ分からないから、二人を不穏なことに巻き込みたくないと思ったの」
「「はぁ……」」
素直にそう言えば、夜鳥くんと雨美くんが盛大に溜息をついた。
なんだ、その心底呆れた顔は?
