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そうして待ちに待った放課後。私は一人、生徒会室の前で佇んでいた。
「すー、はー……」
深く深呼吸する。どうやら柄にもなく緊張しているみたいだ。
前に私が九条くんのことを聞いた時、先生は私には知ってほしくないと言っていた。にも関わらず、今日になっていきなり話すと言い出したのは、やはり九条くんの身に何かあったからなのだろう。
では、その〝何か〟とはなんなのか?
そして妖狐一族が学園、ひいては貴族達に忌避されている理由とはなんなのか?
ずっと燻っていた疑問がついに解消される予感に、知らずゴクリと喉が鳴る。
ちなみに今日の生徒会は、適当な理由をでっち上げて無しになった。雨美くんと夜鳥くんには、木綿先生から伝えておいてくれるらしい。
二人には悪いが話がどう転ぶか分からない以上、巻き込む訳にはいかないだろう。
そう考えて、生徒会室の扉に手を掛けた時だった。
「――副会長、今日の議題は?」
唐突に背後から投げかけられた問いに、私はピシリと固まる。
え? なんで? 今日の生徒会は無しになったんだよ??
聞き覚えのあり過ぎる声に、恐る恐る振り返る。するとそこにいたのは、案の定――。
「や、夜鳥くん……」
「よお」
いつもの黄色いツンツン頭を指先で弄びながら、夜鳥くんが私の後ろに立っていた。そして驚きのあまり動けない私をジッと見た後、いつかのような悪い顔をして見せる。
「聞いたぜ? なーんか、木綿と悪だくみすんだろ? オレも混ぜろよ」
「悪だくみって……」
なんて人聞きの悪い。ただ九条くんのことを話すだけだ。ていうかなんで木綿先生と話をすることがバレてんだ。ニヤリとした表情に嫌な予感がして思わずたじろぐ。
というかこの流れ、なんとなく先の展開も読めた。こうなったら一旦この場を離れて、他の場所で木綿先生と落ち合うしかない……!
とっさに頭の中でそう作戦を立てる。
