雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


 そうして待ちに待った放課後。私は一人、生徒会室の前で(たたず)んでいた。


「すー、はー……」


 深く深呼吸する。どうやら柄にもなく緊張しているみたいだ。

 前に私が九条くんのことを聞いた時、先生は私には知ってほしくないと言っていた。にも関わらず、今日になっていきなり話すと言い出したのは、やはり九条くんの身に何かあったからなのだろう。

 では、その〝何か〟とはなんなのか?
 そして妖狐一族が学園、ひいては貴族達に忌避(きひ)されている理由とはなんなのか?

 ずっと(くすぶ)っていた疑問がついに解消される予感に、知らずゴクリと喉が鳴る。

 ちなみに今日の生徒会は、適当な理由をでっち上げて無しになった。雨美くんと夜鳥くんには、木綿先生から伝えておいてくれるらしい。
 二人には悪いが話がどう転ぶか分からない以上、巻き込む訳にはいかないだろう。

 そう考えて、生徒会室の扉に手を掛けた時だった。


「――副会長、今日の議題は?」


 唐突に背後から投げかけられた問いに、私はピシリと固まる。

 え? なんで? 今日の生徒会は無しになったんだよ?? 
 聞き覚えのあり過ぎる声に、恐る恐る振り返る。するとそこにいたのは、案の定――。


「や、夜鳥くん……」

「よお」


 いつもの黄色いツンツン頭を指先で(もてあそ)びながら、夜鳥くんが私の後ろに立っていた。そして驚きのあまり動けない私をジッと見た後、いつかのような悪い顔をして見せる。


「聞いたぜ? なーんか、木綿と悪だくみすんだろ? オレも混ぜろよ」

「悪だくみって……」


 なんて人聞きの悪い。ただ九条くんのことを話すだけだ。ていうかなんで木綿先生と話をすることがバレてんだ。ニヤリとした表情に嫌な予感がして思わずたじろぐ。

 というかこの流れ、なんとなく先の展開も読めた。こうなったら一旦この場を離れて、他の場所で木綿先生と落ち合うしかない……!

 とっさに頭の中でそう作戦を立てる。