雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


「――――ん?」


 パチリと目が開き、視界に飛び込んできたのは、なんとなく見覚えのある天井。はて? どこだっけ??


「気がついた?」


 聞き慣れた声に首を横に動かせば、イスに座って本を読んでいたらしい九条くんがこちらを覗き込んでくる。
 九条くんの後ろに見える真っ白なカーテンと薬剤の棚で、ここが保健室であることに気づいた。
 どうやら私はベッドに寝かされていたらしい。 


「……?」


 なんだか妙にスッキリする頭で、何故こんな状況になっているのか思い出そうとする。


「覚えてる? 君、全校集会で倒れたんだよ。今日は妙に顔色が悪いと思っていたら……、もしかして昨日の夜に部屋へ戻った後、また無茶な勉強の仕方していたんじゃないの?」

「…………」


 鋭い指摘に私は思わず押し黙る。今ので全部思い出した。どうやら昨日、一睡もせずに勉強していたのが予想以上に体に負担を掛けていたようだ。
 九条くんから無言の圧力を感じ、その金の瞳から逃れるように視線を彷徨わせれば、窓から見える景色が赤く染まっていることに気づいた。

 あれ? 全校集会は朝だった筈。まさか異様に頭がスッキリしている理由は……。


「~~~~っ!!?」


 驚愕の事実に、一気に血の気が引いて叫んだ。


「ご、ごごごごめんっ!!! もしかしなくても私、倒れた上に爆睡していたんだね!!?」

「ビックリしたよ。倒れたと思って慌てて抱き上げたら、ぐっすり寝てるんだもん」

「うわわわわ! それはなんとご迷惑を……」


 九条くんの座るイスの側には何冊かの本が積まれている。どうやらだいぶ長いこと、私の側に付き添ってくれていたみたいだ。また守られてしまったことにジクリとした痛みを感じるが、それよりも嬉しさが勝ってしまう。


「えへへ……」

「どうしたの?」

「なんだかいつもと立場が逆転してるから、おかしくなっちゃって」


 いつもは九条くんがベッドで寝てて、私がイスに座っているのに。
 不思議な上に新鮮で、思わず笑ってしまう。