雪女ですがクラスのイケメン妖狐の癒し係になりました



 ◇


 ザワザワと周囲がうるさく騒ぐ。そりゃあそうだろう。くそ長かった学校長の話は、意外な形で終了したんだから。


「雪守ちゃん最近はかなり無理してたけど、まさか倒れるなんて。ボクの発言がキッカケなだけに、悪いことしちゃったなぁ」

「そうだ反省しろ。水輝はいつもロクなこと言わねーんだよ」

「そういう雷護こそ、雪守ちゃんを焚きつけてたじゃん。ロクなこと言わないのはお互い様でしょ」

「ぐっ……!」


 澄ました顔で話す水輝の言い草に、勝手にオレまで共犯にすんなと思ったが、確かに雪守に「万年2位女」と罵ったのは事実なので、押し黙る。
 そんなオレを一瞥した後、二人が(・・・)去って行った(・・・・・・)方向を見つめて、水輝がやれやれと深い溜息をついた。


「しっかし、おっかなかったよねー九条様。あんなに怒っているの、ボク初めて見た」

「ああ……」


 言われてオレも、雪守が倒れた直後のことを思い出す。
 オレ達の誰よりも早く動き、雪守を抱え上げた九条様は、全校生徒を睨みつけて、こう言い放ったのだ。


『金輪際、俺と彼女を賭けの材料にする者がいれば、容赦はしないからそのつもりで』


 低い、地を這うような恐ろしい声に、その場にいた者は全員震え上がった。もちろんこの一言で、九条様達を賭け事に利用した連中は尻尾を巻いて逃げ出しただろう。
 そして当の九条様は、今ほど見せた恐ろしさなど露も見せず、腕に抱えた雪守を愛おしげに抱え直し、保健室に行くと言い残して去って行ってしまったのだ。


「あーあ、どうすんのさコレ。みんな九条様の一喝でハイになってて、収集がつかないよ」

「残ったオレらで後処理しろって、九条様も人使い荒いよな」


 オレ達は溜息をつき、生徒会長の命令に従うため、ステージを降りる。

 ホント雪守はとんでもねぇ人を引っかけたもんだ。