「さぁー! 今日も張り切って生徒会のお仕事頑張りましょーっ!!」


 今日の議題を記した書類を配って拳を振り上げれば、書類を見ていた全員の視線が一斉に私に向いた。


「なんだよ雪守? ちょっと前まではぁはぁ辛気臭ぇ溜息ばっかついてた癖に、今日はイヤに元気じゃねーか?」

「そこは〝心配してたけど、元気になってよかった〟でいいんじゃない? 相変わらず雷護は素直じゃないね」

「は!? そーゆー水輝こそ、〝何か元気づけられないかな……?〟とか、女みてーにオロオロしてた癖に!」

「あ゛? 今なんつった?」

「まぁまぁ二人とも、ケンカはダメですよ! なんと言っても、今日は久しぶりに我らが生徒会長が出席してくれたのですから!」


 木綿先生の言葉に、今度は全員の視線がその〝生徒会長〟に向けられる。


「はは、なんだかこの雰囲気、随分懐かしく感じるよ。まだ俺が生徒会に参加して1ヵ月しか経っていないのに、不思議だよね」


 そう言って、九条くんは照れ臭そうに笑った。


 ◇


 ――あの雨の日から数日が経ち、「どこにもいなくならない」と九条くんが言ってくれた通り、今日は久しぶりに生徒会メンバー全員での活動と相成った。

 ジトジトと毎日煩わしかった雨も、梅雨明け宣言と共にサッパリ降らなくなり、あの日以降九条くんが早退することも無くなった。
 するとそれに比例するように、私の抱えていた鬱屈とした気持ちもすっかりどこかへと消え去っていて。しばらく振りに絶好調な私は、いつになくやる気に満ち満ちているのである。


「他意見ありますか? なければ次の議題に移りますが――」

「はい」


 さぁお仕事お仕事と、私が議題を読み上げようとした時、隅に座る木綿先生が手を上げた。


「じゃあ先生、どうぞ」

「議題とは逸れるんですが、みなさん。生徒会のお仕事も大事ですが、来週からは学期末テストなので、そちらも頑張ってくださいね」


 まぁ君達のことですから、心配はしていませんがねと木綿先生が笑う。
 なんだ木綿先生、まるで教師みたいなこと言って……。あ、教師だった。


「なんだよ木綿、まるで教師みたいなこと言うな」

「いやいや! 僕、教師ですからね!?」


 私が脳内で考えていたことまんまを、夜鳥くんが木綿先生にツッコむ。
 まさか夜鳥くんと思考が被るとは……。なんだか謎の敗北感を感じる。


「ふーん、学期末テストねぇ……。そういえば最近、面白い話を聞くことが多いね」

「?? 面白い話(・・・・)?」