「ああーーっ!!?」
「やっぱり。どこかで見たことあると思ったら、写真部の部長が文化祭で隠し撮った雪守ちゃんの写真集じゃないか」
「返せっ!!」
水輝がオレの顔面を手で押さえつけながら、器用に片手でパラパラと冊子を捲る。それを取り返そうともがくが、こいつは柔い見た目に反して結構な馬鹿力だ。動けねぇ。
「はー、さすが部長。どれもこれも男が喜びそうな際どい写真ばかり。このアングルなんかどうやって撮ったんだか……」
この水輝の発言に、採点に集中していた筈の木綿も反応する。
「さっきから二人して騒がしいですが、雪守さんの写真集って一体どんな……」
言いながら木綿が水輝の持っている冊子を覗き込んだ。
「あっ!? てめぇ木綿っ! タダ見すんじゃねぇ!! オレがそれ手に入れんのに、どんだけ苦労したと思って……!」
「うぐっ!? こ、これは……!!」
怒鳴るオレを無視して、冊子を凝視したまま木綿がブルブルと震えた。
「メイドさん姿の雪守さんの写真ばかりじゃないですか!! しかも胸とか太ももとかスゴい。胸とか太ももとか……」
ああ、大事なことだから二回言ったんだな。
……じゃねーよ!
「いいから返せよ! そんなに見たけりゃ写真部の部長から買え!」
「いやいや、隠し撮りな時点でアウトだし。近頃校内の男子達の間でプレミア付きで出回っているとは知ってたけど、一応生徒会ともあろう者が違法行為を容認した上に、買ってちゃダメでしょ」
「うるせぇ!! 隠し撮りなら水輝も人のこと言えねぇだろ! 違法だろうがなんだろうが、それはオレが買った以上オレのもんだ! 部長締め上げんなら勝手にやってろ! とにかくそれは返せ!!」
冊子に手を伸ばそうとすれば、しかしそれは木綿に遮られてしまう。
「いけませんよ、夜鳥くん!! 例え君が購入したものであろうとも、これは立派な違法物! ここはひとつ、物的証拠として教師である僕が責任もって保管して……!」
「単に一人でじっくり読みてぇだけじゃねーか!! この変態教師がーーっ!!!」
叫んだ勢いのまま水輝の手を振り払い、その手に持っていた冊子を奪いとる。
「あっ! まだ全部見てないのに!!」
「そうですよ! 独り占めはズルいです!!」
「ああ?」
結局こいつら、あんだけ難癖つけておいて写真を見たいだけかよ。オレも人のことは言えないが、思わず脱力する。
ちっ、しゃーねーな。取り上げねぇんなら、見せてやってもいいか。
――そう考えた時だった。
