「はぁ……はぁ……」
随分と呼吸が荒い。顔色も青を通り越して、紙のように白かった。更に額には玉のような汗もたくさん浮かんでいて……。
「……もしかして、具合が悪い?」
九条くんが保健室で過ごすのは単にサボりだと思っていたが、まさか今までもサボりでなく、本当に具合が悪かった? それとも今日はたまたまなのだろうか?
「うーん……」
疑問は尽きなかったが、しかしこのままでは文化祭の挨拶を頼むどころではない。……出直す?
「いやでも……」
「……はぁ、……はぁ……」
明らかに具合の悪そうな相手を前に、このまま立ち去るというのも目覚めが悪いではないか。
――だからそう、これはあくまで人助け。
そう自分に言い訳して、九条くんの額にそっと手を伸ばした。
「~~っ!!?」
しかし額に手を置いた瞬間、ジュッと蒸発するような音がして、私は慌てて手を引っ込めた。
「こ、これ……」
熱い。普通の発熱ならあり得ないくらい、九条くんの体が燃えるように熱い。火の妖力を宿す妖狐だから、元々体温も普通より高いのかも知れないが、それにしたっておかし過ぎる。
彼の苦しそうな顔を見るに、これは九条くんにとっても良くない状態なのは間違いなかった。
「はぁ、はぁ……!」
「!?」
更に九条くんの息が荒くなる。吐き出された息が火でも吹かれたように熱い。
私はとっさに、彼の体を冷やそうと手のひらに氷の妖力を込めて、もう一度彼の額に手を伸ばした。
