ーー私が知っている限り、それは、恋に似ている。
そうだとしたら、きっと知るのは幸せで、怖いことなんてないはずだ。
「だったら、咲ちゃんが俺に教えてよ」
陸くんは私の手をとって、甲にやさしくキスをした。
「ふ、ふたりで! 二人で一緒に、わかるようになろうよ」
「一緒に、ね。じゃ、俺のこと、置いてかないでね?」
「そ、れは、私のセリフだよ……!」
いつも先回りするのは、陸くんの方だ。
今から恋を知ろうとするには、なんだか色々飛び越えて、色々経験しちゃった気がするけど。
きっと、今からだって遅くない。
ーー好きになんか、なっちゃいけないと思ってた。
けど、そんな吸血鬼と私は、恋を始める。
二人で一緒に、ちょっとずつ。
知らない気持ちを、知るために。
【おしまい】
☽
「……なんでフライパン持ってたの?」
「咲ちゃん家の、しょぼかったから。買ってきた」
「……鍵は、どうやって開けたの?」
「もちろん作ったの、合鍵」
「住む気満々だったんだ……」
☽
【宣伝】
陸くん登場中の長編
『きみのためならヴァンパイア』
完結済みです。
※過去のひどい陸くんが見たい方はぜひ!



