羽鳥くんが噛んだ首筋に、痛みが走る。
陸くんのときの甘い痛みとは違う、単純な暴力のよう。
「いたっーー」
「痛くしてんだよ、俺がどれだけ待ちわびたかわかってる?」
……あの合コンの日からずっと、私のことを狙っていたのだろうか。
陸くんがいたのも、あの日からだ。
羽鳥くんからしたら、陸くんの存在はさぞ邪魔だったことだろう。
「……やっぱ、うまいわ、稀血。お前のこと依存症にして、俺のものにしてやろうかな」
ーー前、だったら。
そんなの嫌って即答してた。
けど今は、本当にもうどうでもいいんだ。
……でも、依存症になってしまって、他のことを何も考えられなくなるのなら。
最後に一度だけでも、また、会いたかったな。
「ーー陸くん……」
思わず私は呟いてーーその声の後で、玄関の鍵が静かに開いた音がした。
羽鳥くんも私も、もちろん触れてすらいない。
……つまり、外から誰かが開けたんだ。
「呼んだ? 咲ちゃん」
開かれたドアの向こうに、陸くんが立っていた。
「なんでっーー」
「なんでまたいるんだよ……!」
私の言葉は、激昂した羽鳥くんに遮られた。
羽鳥くんは瞬時に私から離れ、ドアの外に立つ陸くんに殴りかかっていく。



